EC-CUBEで始めるD2Cブランドの成功戦略・事例

2024.12.04

2024.12.04

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株式会社イーシーキューブが開発する、オープンソースの国産ECサイト構築パッケージソフトウェア「EC-CUBE(イーシーキューブ)」。

カスタマイズ性とコストパフォーマンスが高く、D2Cブランドのような小規模な事業者だけでなく大規模事業者も含めた幅広いEC事業者に対応できるため、2024年3月時点で3万5,000店舗以上のECサイトに導入されていると言われています。

また、同様のソフトウェアのほとんどが海外製であるのに対し、日本製であるために管理画面が使いやすく、日本人の利用者が多いことから、不明点などについては簡単に調べることが可能です。

本記事ではD2Cブランドの目線で、EC-CUBEの活用術や導入成功事例、D2Cブランドを成功させるための運用ポイントなどをご紹介していきます。

「EC-CUBEでの構築を検討している」「EC-CUBEの基本性能や導入事例を知りたい」という方はもちろん、「D2Cブランドが運用するにあたってのポイントを知りたい」という方も、ぜひご一読ください。

D2Cブランドとは?EC-CUBEで実現するD2Cサイトの基本要素

D2Cブランドとは?EC-CUBEで実現するD2Cサイトの基本要素のイメージ画像
まず、D2Cブランドの基本概念と、D2CブランドがEC-CUBEを使って何ができるのかをご紹介します。

消費者により良い顧客体験を提供できるビジネスモデルとして注目される「D2Cブランド」

D2Cブランドとは、Direct To Consumerブランドの略で、小売店や、卸問屋などの仲介業者を介さずに、自社ECサイトやSNSなどを通じて製品を顧客にダイレクトに販売するブランドを指します。とくにアパレル業界との親和性が高く、またコスメや健康食品などさまざまな業界でも数多く見受けられます。

D2Cブランドの主なメリットには、次のようなものがあります。
・販売や配送の手数料、受発注や返品対応のコストを抑えることができる
・ブランドや製品の魅力を直接顧客に伝えられる
・顧客の意見を直接聞くことができるため、ブランドのさらなる成長
・改善に生かせる
・自社の強みや理念、ストーリーなどを正確に消費者へ伝えやすい
・WEBサイトのデザインや設計を自由に行えるため、独自のコンセプトや世界観を表現しやすい

D2Cが注目される理由は、「消費者の価値観の変化」

従来、消費者は欲しいモノを購入したら満足でしたが、現在はモノを買うだけではなく購入前後の顧客体験も求めるようになっています。

独自の世界観を伝えるブランディングや、ダイレクトに消費者とつながるマーケティングが可能なD2Cは、こうした消費者の価値観の変化に柔軟に対応し、消費者により良い顧客体験を提供できるビジネスモデルとして注目されています。

D2CブランドがEC-CUBEを使うメリット

ECサイト開発において多くの企業でEC-CUBEが導入されているのには、理由があります、 ここでは、D2CブランドがEC-CUBEを採用することで実現できることについてご紹介します。

開発コストを抑えられる

EC-CUBEはオープンソースであり無料で使えるため、利用にともなう月額費用などは一切かかりません。またシステム開発には、パッケージ開発とスクラッチ開発の2種類があり、EC-CUBEはパッケージ開発に分類されます。

すでに完成されたシステムを自社用にカスタマイズするので、スクラッチ開発よりも開発コストを大幅に下げられます。そのため「ECサイトの立ち上げにコストをかけられない」というD2Cブランドにとって、EC-CUBEの導入は有効と言えるでしょう。

必要な機能を揃えたECサイトを簡単に構築できる

たとえば、ECサイトに必要不可欠な検索機能やレビュー機能、会員登録機能など、EC-CUBEにはECサイトに必要な機能が一通り網羅されています。

また、メルマガ機能やおすすめ商品表示機能など、ユーザーに購入を促す機能も用意されている点が魅力です。 特に細部の仕様などにこだわる必要がないD2Cブランドであれば、EC-CUBEで十分でしょう。

デザインから機能まで完全カスタマイズ!EC-CUBEの活用術

ここでは、EC-CUBEの特徴と活用術について解説いたします。

十分な機能を備えたECサイトを簡単にオープン

EC-CUBEの基本利用料は0円ですが、ECサイト構築のための必要な機能が十分揃っており、すぐにネットショップをオープンできるところが最大の魅力です。

受発注状況や顧客情報の管理、各種メール送信といった機能を網羅。さらに、セキュリティ管理や各種情報のCSV出力、納品書のPDF出力なども可能なので、安全かつ効率良く店舗を管理することが可能です。

もし、足りない機能があってもオーナーズストアで購入が可能で、追加機能やデザインテンプレートの種類も豊富で800種類以上あります。そのため実現したい機能やブランドイメージにあったデザインを、すぐにECサイトに実装できます。

決済サービスについても、公式サービスである「EC-CUBEペイメントプラス」を使うと、VISA、Master Card、JCB、AmericanExpress、Diners Clubなどの主要国際カードブランドだけでなく、「PayPay」「GMO後払い」「コンビニ決済」「電子マネー」「オンラインバンキング」「銀行ATM払い」などにも対応可能になります。

さらにオプションサービスとして、3Dセキュア認証支援サービス、不正検知サービス、定期課金サービス、決済承認通知メール、融資サービス、早期入金サービスなどが用意されています。

物流サービスとも連携しているので、物流会社の選択などで迷うことなく、簡単に安く導入できます。 マルチデバイス対応で、PCでもスマートフォンでも利用できるところも安心です。

豊富なテンプレートやプラグインで自由にカスタマイズ

EC-CUBEでは、高度なプログラムの知識は必要はなく、プラグイン(ソフトウェアの機能を拡張するため追加するプログラム)をインストールするだけで、機能を自由にカスタマイズして拡張できます。

プラグインの種類は多岐にわたり、決済・デザインテンプレート・機能カスタマイズ・集客・顧客管理・販促 物流・在庫管理 SNS・セキュリティなどから、必要な機能だけを選んで購入することが可能。

代表的なものとしては売上ランキングを表示させる機能や、カートイン時におすすめ商品をレコメンドする機能のほか、メルマガ配信やバナー管理などのプラグインがあります。

EC-CUBEを導入する際は、高度なコーディングの知識は必要ありませんが、プラグインの扱いに慣れていないと、適切な導入方法などに戸惑ってしまうことも考えられますので、この点はご注意ください。

不明点はインターネット検索や開発コミュニティなどで学ぶ

EC-CUBEは、D2Cブランドに限らず数多くのEC事業者に採用され、日本国内での導入事例が多いのもEC-CUBEの魅力。 そのためEC-CUBEの登録会員者が利用する大規模な「EC-CUBE開発コミュニティ」(https://xoops.ec-cube.net/)が存在し、活用方法を学ぶことができます。

エンジニアだけでなく、デザイナーやショップ運営者など、さまざまな人が参加。質問や会話ができるので、初心者の方でも気楽に質問ができますし、効率よく問題を解決できます。

また、インターネット検索でもEC-CUBEの使い方に関する記事を調べることができます。同様のソフトは海外製が多く、関連する情報が英語であることがほとんどでした。

そのためECサイトのトラブルが発生した際に解決策などの情報を調べても、和訳に時間を要したり、不正確になるケースがよくありました。

EC-CUBEは日本企業が開発しているため、日本語の関連情報が多く、不明点があってもインターネットで調べやすいのがメリットです。 トラブル発生時に如何に迅速に解決できるかが、ブランドイメージに大きく関わるD2Cブランドにとって、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

成功するD2Cブランドに学ぶ!EC-CUBE導入事例

ここではD2CブランドのEC-CUBE導入事例を取り上げ、そのポイントを解説いたします。

本質的なブランド価値の創造こそが重要|株式会社Sparty

株式会社Spartyの事例
美容カテゴリにおいて「パーソナライズ×D2C」を基軸とした事業を柱とする株式会社Sparty。 オンライン上での髪質診断結果をベースに、5万通りの組み合わせから一人ひとりにカスタマイズしたシャンプーなどを届けるサービス「パーソナライズヘアケア MEDULLA」を展開。

ECに必要な機能が標準でそろっており、フルスクラッチで作るよりも早く立ち上げられるといった理由から、ブランドサイトをEC-CUBEをベースに自社内で開発・運営しています。

実際にECサイトを運用してみて感じたEC-CUBE利用のメリットは、他のカートではカスタマイズができる機能に制限があるのに比べ、どこまでも柔軟にカスタマイズができる点。

現在、「MEDULLA」以外のサービスの立ち上げ・運用にも、EC-CUBEを活用しているそう。 EC-CUBEのようなツールを使えば誰でも簡単にECサイトを構築できる時代だからこそ、商品力・価格・デザインなどで差別化をはかり、本質的なブランド価値を創造することが重要だと言うことです。

創業9年で年商125億円を突破した成功を支えるEC-CUBEの高い拡張性|株式会社ビタブリッドジャパン

株式会社ビタブリッドジャパンの事例
D2Cで化粧品やサプリメントを展開する、株式会社ビタブリッドジャパン。美容シリーズ「ビタブリッドC」は累計販売個数が1,500万個を突破するなど、国内のみならず海外からも高い評価を集めている同社では、創業以来EC-CUBEを活用しています。

自分たちがやりたいビジネスを叶えるために、自由にカスタマイズできるEC-CUBEを選択したというだけあり、「原型がないくらい」というほどカスタマイズを施したということ。

D2Cのビジネスとして必須の機能であるLP一体型のエントリーフォームや定期購入、マイページの作りこみなど、自前で作成。その他にも返品の自動処理、対応履歴の管理などの機能追加をしてきたそう。同社のビジネス成功の秘訣は、小さくはじめて大きく育てること。最初からオーバースペックに開発せず、小さくはじめて当たったら大きく育てるという方針で進めているこということ。失敗しても最小限で抑えられるように、ミニマムな開発からはじめてみようという戦略です。

これにより無駄な開発コストが発生せず、自分たちの成長のステージにあわせて、必要な機能追加をしているところが成功の秘訣と断言しています。

ECサイト上で簡単にスーツのシミュレーションが可能な仕組みを構築|株式会社オンリー

株式会社オンリーの事例
オーダースーツを主軸に、アパレル事業を展開している株式会社オンリー。

購入が難しいと思われるオーダースーツを、ECサイトで簡単に注文できる仕組み作りに成功していますが、その鍵を握っているのが独自に開発したシミュレーターです。 EC-CUBEを基幹として構築を行い、採寸マスターに対して、APIにて会員情報を連携。

店頭およびECサイトにて、会員ごとの採寸データを共有できるようカスタマイズしています。また、お客様の身長・体重などから、採寸情報の平均値を割り出して表示する機能を実装。目安となる数値を参考に、手軽にご注文できるようになっています。

さらに生地の画像を管理画面から登録し、ECサイト上でお客様が簡単にスーツのシミュレーションが可能な仕組みを構築。こうしたオーダーメイドというサービスの特性や、同社のこだわりを実現するためには、カスタマイズ性が高いEC-CUBEが最適でした。

アパレルEC構築において意識すべきは、「感情の動きに応じた導線を敷くこと」と言います。多くのお客様は服を買うときにスタイリングを見て購入意欲が湧くことから、ブログやSNSなどで紹介したスタイリングから、そのままECサイトにスムーズに遷移できる導線を考えることが、非常に効果的だということです。

EC-CUBEで構築したD2Cブランドを成功させるための運用ポイント

それでは、D2CブランドがECサイトを運用する際の重要なポイントと、それを実現するEC-CUBEのカスタマイズ機能を見ていきましょう。

管理画面のカスタマイズでECサイトの運営効率をアップ

ECサイトの管理・運営の効率化は、利益に直結するD2Cブランドにとって最重要課題と言ってもいいでしょう。EC-CUBEを導入すれば、管理画面をカスタマイズすることで作業効率を上げ、運営の手間を少なくすることが可能です。

ここでは、ECサイトの管理・運営の効率をあげるカスタマイズ機能の一部をご紹介します。

会員情報CSVアップロード機能

フォーマットに沿って作成したCSVデータを利用して、会員の一括登録(または一括更新)が可能となる機能です。多数の会員の新規登録や更新を手動でする必要がある場合や、他のASPシステムからECサイトのデータを移行する際に最適です。

送料区分設定機能

送料が都道府県ごとや重量などによって一定でない場合に有効な機能です。配送業者ごとに送料区分と都道府県で送料設定を行い、商品毎に作成した送料区分の割り当てが可能。送料区分・配送業者はそれぞれ管理画面で設定ができます。

商品在庫切れのメール自動通知機能

商品の在庫が「0」または設定した在庫数になると、管理者にメールで知らせる機能。人気商品が品切れになる前に在庫調達を行え、売上のチャンスロスを減らすことが可能になります。

集客力・売上をアップする、EC-CUBEのカスタマイズ機能

ECサイトの売上を上げるための集客の効率化やコンバージョン率の向上は、多額な宣伝コストをかけられないD2Cブランドにとって重要な施策であり命綱です。ここでは、キャンペーンやセールにも使えるEC-CUBEのカスタマイズ機能についてご紹介します。

「おねだりメール」で新規顧客を獲得

商品詳細ページに「おねだりメール」のボタンを追加することで、ユーザーが特定の人に購入のおねだりができるようになります。つまり、ユーザーが新規顧客獲得に一役買ってくれるわけです。

プレゼントに向いている商材を扱っているD2Cブランドに有効で、クリスマスやバレンタイン時などのキャンペーン連動企画として活用することで、集客の幅が広がります。

スタイルブック機能で集客力とコンバージョン率をアップ

モデルが着用しているアイテムを関連商品に表示することでユーザーの購買意欲を促進し、コンバージョン率の向上につなげる、アパレル系商材に有効なカスタマイズ機能です。コーディネートサンプルを定期的に更新すれば、ECサイトへ誘導する強力なコンテンツとなります。

タイムセール機能を利用したシークレットセールなどで集客

設定した時間帯のみサイトに商品が表示され購入が可能となる、販売時間の指定機能。会員のみ購入が行なえる機能と併用すれば、会員限定のシークレットセール等の企画を行うことも可能です。

商品の閲覧ができても「カゴに入れる」ボタンを表示しない設定もできるので、販売開始日時を定めた限定商品販売などにも対応できます。アパレルサイトや、希少価値の高い商品を扱うD2Cブランドに最適な機能と言えるでしょう。

レビューのカスタマイズで、ブランドの信頼性やリピート購入を強化

ユーザーによるレビューは、商品の使用感などの情報を伝えるだけでなく、ブランドの信頼度の向上やリピート購入の強化にもつながります。ここでは、EC-CUBEのレビューカスタマイズ機能についてご紹介します。

スタッフのレビュー表示で販売促進

商品ページに、スタッフの顔写真とレビューコメントを表示させる機能。販売スタッフの顔やコメントを見せることで店頭POPのような役割を果たし、親近感や安心感を伝えられます。購入意思の決定に、専門家のアドバイスが大きく影響する商材(アパレルやワインなど)を扱うブランドなどで有効な機能です。

レビュー投稿へのポイント付与でリピート購入を強化

商品購入時のポイント付与とは別に、「レビュー投稿」にポイントを付与できる機能。「レビュー投稿をしてくれたお客様にポイントプレゼント!」などのキャンペーン実施が可能になります。

独自ドメイン店の強みは、直接的にユーザーを囲い込み出来る点にあります。この機能を活用すれば、お客様からのレビュー収集につながりますし、そのお店で得たポイントはそのお店でしか使用できませんので、リピート購入も期待できるでしょう。

【まとめ】EC-CUBEで始めるD2Cブランドの成功戦略・事例

ECサイト構築パッケージ「EC-CUBE」は、ソースコードが公開されているため、誰でも無料でダウンロード・利用でき、自由にカスタマイズすることができます。

そのためECサイトの立ち上げにコストをかけられないD2Cブランドにとっては、有効なツールと言えるでしょう。また、レビュー機能・クーポン機能・おすすめ商品掲出機能など、「自社商品のブランド力を高めたい」「自社のファンを持ちたい」というブランドにとって、最適なプラグインも用意されています。

その一方でセキュリティが脆弱になりやすいという懸念があり、バーションによっては情報漏洩や顧客満足度の低下を招く可能性がある点に注意が必要です。

自社でセキュリティ対策を行うことが難しい場合は、パートナーとの連携やサービス導入が必要になります。またAmazonや楽天市場など、知名度が高く利用者数が圧倒的に多いECモールへ出店するのと比較すると、集客力が弱くなる点は否めません。よってSEO対策やSNSとの連携などは必須になります。

ルビー・グループでは、これまでEC-CUBEにて多くのオンラインストアを制作・運営しており、制作と運用実績に関しては豊富な情報量を持っております。柔軟なカスタマイズ対応だけでなく、サイト開設後の運用やバージョンアップにおいても安定的にサポートをさせていただきます。EC-CUBEに関するご質問などあれば、ぜひお問い合わせください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!

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