2023.6.20

2023.10.11

#ささげ

アパレル商品撮影の基本を徹底解説

ECサイトにおける撮影業務は、商品を販売するにあたって必要不可欠な業務のひとつです。その中もアパレル商品の撮影は方法が複数あり、撮影方法によって仕上がりや作業時間、準備するものが変わってきます。本記事では、アパレル撮影の種類や手順などの基礎知識から、実際にルビー・グループで撮影した実例を踏まえて解説していきます。

アパレル商品撮影の種類

アパレル商品の撮影方法にはいくつか種類があり、それぞれ特徴や強みがあります。希望の仕上がりに合わせて撮影方法を変えることで、商品をより魅力的に見せてくれます。



置き画・平置き写真

置き画・平置き写真は、商品を平らな板やテーブルに置いて撮影された写真のことです。アレンジがしやすくクリエイティブ寄りの撮影の時にもよく使われるので、SNSやECサイトでのバナーなどにも活用されます。

平置き写真を撮影するためのポイントをいくつか紹介します。

背景を選ぶ:背景はシンプルで統一感のあるものがおすすめです。無地の背景が一般的ですが、テイストや仕上がりイメージに合わせて木目や大理石調のシートを使用することもあります。

ライティング:野外での撮影やスタジオに窓がある場合、自然光を活かして撮影すると良いです。屋内で撮影する場合は機材を適切にセットして、明るい均一な照明で撮影を行いましょう。

配置:商品をバランス良く配置していきます。合わせの商品を使う場合は、メインの商品が隠れないように配置しましょう。

カメラの設定:ホワイトバランスやISO感度、シャッタースピード、色温度などの設定を行ってください。

画像加工:撮影後、写真編集ソフトウェアを使って色合いや明るさを調整し、最終的な仕上げを行います。

置き写真は初めての方でもチャレンジしやすい撮影方法ですので、上記のポイントを押さえてぜひ行ってみてください。



モデル着用写真

モデルが実際にアパレル商品を身に付けて撮影する方法のことで、着用した時のシルエットが分かる上、ポーズが加わるので商品の詳細がより伝わりやすいという点が最大のメリットと言えます。その他にも、モデルのビジュアルを活かしてブランドの世界観を表現したり、消費者の購入意欲を高める効果もあります。

一方で、モデル着用写真の撮影はデメリットも多数あります。
・費用が高い
・撮影準備に時間がかかる
(コーディネートを組む、モデルオーディションの実施、事前フィッティングなど)
・ヘアメイクやスタイリスト、アシスタントの手配が必要
・屋外で行う場合、天候に左右される ECサイトではよく単体写真と合わせてモデル写真を起用するケースが多くみられます。

しかしながらモデル撮影を行う場合は念入りな準備とスタッフの手配が必要になるので、少人数で行おうとすると個々への負荷が重くなり、いつまで経っても終わらない・・・と言う状況になりかねません。
なのでモデル着用写真の撮影はプロの業者に依頼をすることをおすすめします。



マネキン・トルソー写真

マネキン・トルソー写真とは、その名の通りマネキンやトルソーを使用した写真のことを言います。
※マネキンとトルソーの違い:マネキン:全身(頭部・腕・脚)、トルソー:胴体部分のみ(ボディとも呼ばれる)

マネキンやトルソーは店舗のディスプレイでよく目にするものですが、ECサイトではモデル写真の代わりに使用されることが多く、特にマネキン(全身)はモデルと同じような着用時のシルエットや立体感を表現するのに適しています。
メンズ・レディース・キッズでそれぞれ購入する必要はあるものの、一体用意しておけばいつでも撮影することができます。 「着用画は欲しいが、モデルを起用するにはコスト面や技術的にハードルが高くて難しい。」という人におすすめです。



ゴーストマネキン写真

ゴーストマネキン写真とは、商品を専用のマネキンに着せ、まるで浮いているように見せる方法のことです。仕上がりに統一感が出やすいので、サイト自体がスタイリッシュな印象になります。

専用のマネキンがなくても撮影はできますが、パーツを別で撮影し部分的に合成するといった特殊な処理が必要になるので、初めての人には難易度が高い撮影方法になります。検討している方はプロの業者に依頼をすることをおすすめします。



吊り写真

吊り写真とは、商品を吊った状態の写真を意味します。置き写真とは異なり重力が加わるので素材の風合いやシルエットが綺麗に見えるというメリットがあります。吊るために使う備品は撮り方によって様々ですが、一般的なハンガーのほかに、「インビジブルハンガー」と呼ばれる専用のハンガーやマグネットを使用することもあります。ブランドのオリジナルハンガーがある場合は、この撮影方法がおすすめです。シルエットは綺麗に見えやすいですが、実際に着用した写真ではないためモデルの写真と併用して使うケースもあります。



ロゴやデザインなど、ディテールにフォーカスした写真

ブランドロゴやプリント、ステッチ、ポケットなど特定の場所をアップして撮る写真は、アパレル商品の魅力を伝える上で非常に重要なものと言えます。
なぜなら全体を収めた写真だけでは、一見プリントに見えるが実際は刺繍だったり、シャツに胸ポケットがあるのかないのか分かりにくかったりと、アップにしないと認知しにくいデザインがあるからです。
より消費者に商品の良さを伝えるために、フォーカス写真はできるだけ撮影するようにしましょう。

アパレル商品撮影の必要機材

デジタル一眼レフカメラ

アパレル商品撮影の際には、解像度が高くて設定オプションが備わっている一眼カメラがおすすめです。
手軽に始めるのであればデジタルカメラでも問題ないですが、後々編集することを考えると画質が担保できないためおすすめできません。
特にジュエリーやアクセサリーなどの小さな商品を撮影するには不向きです。また、スマートフォンはカメラに比べて歪みやすいほか、書き出しされるファイルの拡張子が扱いにくいので、商品撮影には向いていません。



レンズ

レンズの種類によって撮影される画像の仕上がりが変わるため、適切なレンズを選ぶことが重要です。また、撮影用途によってレンズのサイズを変える必要があります。



三脚

アングルを固定してくれるので、商品撮影をする際には必ず必要です。特にスタジオでの撮影では安定感を出すために、三脚自体の重量が重いものがおすすめです。



スタジオ用ライティング機材

ジェネレーター、モノブロック、リフレクター(レフ板)、ディフューザーなどの機材が必要です。
影になってしまったところに光を入れたり、強すぎる光を抑えて商品を視覚的に見やすくするなどの役割をするので、必ず揃えておきましょう。



背景紙

商品撮影では一般的に白の背景紙が使われます。モデル撮影を行う場合は大きいものを選んでください。



スチームアイロン

アパレル商品撮影の準備の段階で必要不可欠です。また、モデル撮影のときには撮影中にトップスをインしたり、リボンを結んだあとに一度ほどいたりなど、シワになりやすい場面が多いです。
いざという時に必要になるので、当日も必ず常備しておくようにしましょう。



マネキンまたはモデル

特にアパレルの撮影の場合は、マネキンかモデルを用意しておくと着用感がわかりやすくなります。



画像確認・加工ツール

Adobe PhotoshopやLightroomなどのツールは、撮影後の画像加工作業で使われます。
撮影中の確認作業にはBridgeというツールがおすすめです。

アパレル商品撮影の手順

アパレル商品を良く見せるために撮影自体はもちろんですが、撮影準備も重要です。
一般的なアパレル商品撮影の手順をご紹介します。

プランニング:まず最初に撮影方法とレギュレーション、仕上がりイメージを決めていきます。
レギュレーションとは、正面、横、背面、アップなどといったどのアングルを押さえるかのことで、
別名「カット割」とも呼ばれます。

掲載するプラットフォームによって最大枚数が決まっていることもあるので、よく調べてから枚数を決めましょう。

プランニングの段階で、どうしたら商品がより魅力的に分かりやすく見せられるかに焦点を当て、モデル写真の有無や合わせの商品を決めていきます。

撮影準備:商品を袋から取り出しハンガーにかけてから、折りシワなどが残らないように念入りにスチームをかけていきます。タグがついている場合は予め外しておくほうが円滑に撮影を行えます。なお、タグは品番情報が記載されている大切なものなので紛失しないよう保管方法に気をつけてください。

また、モデルやマネキン撮影の場合はフィッティング時間を短縮するために 「シャツのボタンを外しておく」「デニムパンツのファスナーを下ろしておく」など、細かな準備を行っておくと良いでしょう。

スタジオセッティング:背景紙やテーブル、ライト等のセッティングを行います。また未撮影の商品と撮影済みの商品が混在しないように十分なスペースを確保しておくと後々スムーズです。

マネキンまたはモデルの手配:マネキンやモデル着用写真を考えている場合は予め手配をしておきましょう。マネキンの位置やモデルの立ち位置も撮影前に決めておきます。

撮影:テスト撮影を何度か行なってから本格的に撮影を開始します。

画像セレクト:ピントが合っているか、商品が左右対称になっているかなどを確認し画像をセレクトします。

画像加工(レタッチ):色や明るさの調整、背景の処理などを行います。形の調整や影をつけるなどの作業も可能です。

掲載:レタッチ後の画像をアップロードします。システムやサイトによってファイル名・画像サイズ・形式などルールが決まっているので、その通りの内容になっているか必ず最終確認をしてからアップロードするようにしてください。

修正・再アップロード:掲載後に不備や再調整を行いたい場合には修正後に再度アップロードを行います。

アパレル撮影のルビー・グループでの実例

Tシャツ、ボトムス

形が極力同じになるように意識し、サイト上で統一感のある見え方になるようにしています。



バッグ

ストラップを曲線状に出すことで高級感のある仕上がりにしています。



キッズパジャマ

袋もセットであることが一目で分かるように合成処理を行っています。キッズ商品は上下が繋がっているアイテムも多いことから、後ろの写真ではあえて上下を離すことで視覚的に伝わりやすくしています。



ハット

被写体を浮かし影を出すことで、より立体的な印象に仕上げています。



おもちゃ(積み木)

真上ではなく、若干下からのアングルにすることで、積み木自体の厚みが分かりやすい仕上がりにしています。

まとめ

いかがでしたか?本記事ではアパレル商品撮影の種類と機材、手順などを解説してきました。商品に合った撮り方をすることで、初めての人でも魅力的な写真に仕上げることができます。しかしながら、機材に費用が掛かったり、撮るのが難しい商品があったりと苦戦してしまう場面もあるかと思います。

ルビー・グループではアパレルからファッション雑貨、ジュエリー、文具など、撮影の実績が豊富にございますので、お困りの際はぜひご相談下さい。

この記事を書いた人

染谷 千晶フルフィルメント部 ささげチーム

アパレル商品のセールスライター歴8年。担当ブランド数は延べ17社に上る。2020年2月よりルビーグループ株式会社へ参画。 商品ページのセールスライティングを担当しながら、EC撮影の進行管理とディレクションを兼任。 元々アパレル業界未経験から始めていることもあり、ビギナーならではの多角的な視点と、「寄り添う」を意識した提案を心がけている。趣味は音楽鑑賞、特技は韓国語。