しかし最近では、売上アップに貢献する効果的なマーケティング施策のひとつとして、ECサイトでの動画の活用が注目されており、実際に商品紹介やコーディネート紹介などの動画を掲載しているECサイトも増えてきました。
本記事ではこうしたECサイトにおける動画の活用事例や、メリット、注意点などを詳しくご紹介しています。
「動画ECについて詳しく知りたい」「動画ECをどのように活用すればいいのか」とリサーチ中の方はもちろん、「ECサイトを成長させたい」「新たな施策がないのか模索している」という事業者の方も、ぜひご一読ください。
ECサイトで動画を使用している企業が多い理由
昨今では、ECサイトへの動画活用が注目されており、自社のサイトに動画を取り入れる企業が増えています。動画の活用が注目されている理由として考えられるのは、以下の2つです。
動画視聴ハードルの低下
総務省より公開されている令和5年「情報通信に関する現状報告」によれば、スマートフォン保有率(個⼈)は77.3%(2022年)、インターネット利⽤率(個⼈)は84.9%(2022年)にものぼります。
こうしたスマートフォンとインターネットの爆発的な普及により、動画の視聴ハードルが低下していると言えます。さらに同報告によれば、5G⼈⼝カバー率は93.2%(2021年度末)に達しており、こうした通信環境の安定化によって、多くの人が、いつでもどこでも動画を閲覧できるようになりました。
国民のほとんどがスマートフォンを保有し、通信環境が整ったことから、多くの消費者が動画を手軽に視聴できる時代になったといえるでしょう。
総務省 令和5年「情報通信に関する現状報告」:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/summary/summary01.pdf
動画配信機能の普及
いまやスマートフォンアプリでも簡単なカットや編集、テロップやSEの追加などができるなど、配信者向けの動画制作サービスや、配信プラットフォームの多様化も大きく影響していると考えられます。
ECサイトを利用する企業側にとっても、動画活用のハードルが低下していると言えます。これらの理由から、多くの企業が自社サイトに動画を活用しはじめており、ECサイトにおける動画の活用は、いまやオンラインマーケティングの常識となりつつあります。
ECサイトで動画を使用するメリット
ECサイトで動画を使用している企業が多い理由は理解できたものの、果たして自社のECサイトで動画を活用して本当に効果があるのだろうか?そう疑問をお持ちの皆様に、ECサイトで動画を活用するメリットについて解説いたします。
情報量が豊富で商品の魅力を伝えやすい
ある調査では、1分間の動画の持つ情報量は、Webページ3,600ページ分に相当すると結論づけているほど、動画コンテンツはテキストや画像に比べて情報量が多いところが特徴です。
テキストで情報量を増やそうとすると長文になり、画像で情報量を増やすとページが長くなってしまいますが、動画を利用すれば端的にさまざまな情報を盛り込めます。
また、ユーザーはいくら気になった商品でも、自分がその商品を使用している様子をイメージできないままだと「買っても大丈夫かな…」と不安になり、なかなか購入を決断できません。
その点、動画であればさまざまな角度から商品の使用感やサイズ感、操作方法などをより詳細に伝えることができるので、ユーザーに購入後のことを想像してもらいやすくなり、購入の後押しにつなげられます。
このように動画を活用すれば、ユーザーの商品購入に対するハードルを下げ、スムーズに購入へと繋げられることが期待できます。
ただし、ユーザーが必ずしも動画を最後まで視聴するとは限りません。途中でスキップされないような工夫や、最低限伝えたい情報を常時表示させるなどの対策を心がけましょう。
SEOに有利に働く
商品ページに動画を取り入れることで、SEO(検索エンジン最適化)にも有利に働く可能性があります。まず、動画を埋め込むことによってECサイト内の滞在時間を増やせます。
サイト内の滞在時間はセッション時間と呼ばれ、SEOにも評価を与える項目の一つです。セッション時間が長い方が必ずしも良いというわけではありませんが、検索エンジンから「ユーザーから興味を得ているサイト」と認識される可能性は高いでしょう。
また「Google」のような検索エンジンには、動画の検索機能も存在します。動画を活用してユーザーにとって分かりやすい情報を提供できれば、Googleからの評価が高まることも期待できます。
コンテンツがリッチになり他社サイトとの差別化に
モノや情報が溢れている昨今、他社ECサイトとの差別化はますます難しくなっています。そこで動画を駆使することでコンテンツをリッチにし、ユーザーに特別な体験を提供したり、記憶に残るコミュニケーションを図ることが重要です。
また動画の活用により、テキストや画像では十分に伝えきれないブランド独自の世界観や魅力を伝えることで、「ブランドイメージの確立」や「ECサイトの好感度アップ」といった効果が期待できます。
幅広いプラットフォームで活用できる
商品やサービスの紹介動画は自社のECサイトだけでなく、幅広いプラットフォームでも使用できます。例えば「Instagram」などのSNSや、「YouTube」などの動画サイトにECサイト用に作成した動画を投稿することも可能です。
よく知られているように、SNSや動画サイトはコストをかけずに拡散を狙える手段であり、動画が話題となれば多大な宣伝効果が期待できます。
ただし、SNSや動画配信プラットフォームに掲載する場合、動画のリサイズが必要になることもあるため、その点は注意しましょう。
ECサイトで動画を使用する際の注意点
ECサイトにおける動画の活用は多くのメリットをもたらしますが、導入の際には注意すべき点もいくつかあります。ここでは、ECサイトへの動画活用を検討する際の注意点について解説します。
専門的なノウハウやスキルやが必要
ユーザーにとって魅力的な動画を制作するには、商品の魅力を十分に理解していることはもちろん、
それを伝える動画制作の専門的なスキルやノウハウも必要になります。
近年では手軽に動画を編集できるスマートフォンアプリなどもあるため、動画制作に対するハードルは下がっていますが、魅力的な動画をつくるには、それなりの知識や経験が求められます。
また、モバイルアプリや無料ソフトを利用して動画を制作する場合は、編集機能に限界があるため、
チープな印象に仕上がってしまうケースもあるので要注意です。
自社内に動画制作のスキルやノウハウを持つ人材が不在の場合は、映像制作会社へ外注することを検討しましょう。また、簡単な操作で高品質な動画制作をサポートしてくれる、有料の動画制作ソフトを活用することもひとつの方法です。
動画の制作にコストや時間がかかる
動画の制作は、商品説明のテキストや画像を用意するよりも多くの時間を必要とするため、リソースの配分には十分に注意してください。また、クオリティの高い動画を制作するには、当然ですが一定のコストもかかります。
とくに専門の映像制作会社にアウトソーシングするとなると、社内で制作するのに比べ大幅にコストアップとなることは覚悟してください。予算が十分に取れない場合は、自社制作と外注の振り分けも検討しましょう。
「SNSで使うような尺の短い動画は自社制作」「動画配信プラットフォームや店頭に流用する尺の長い動画は外注」というように、内製と外注の振り分けも検討してみてください。
サイトが重くなりやすい
動画は情報量が多く、商品の魅力や特徴を伝えやすいといったメリットがある一方、データ容量が多い点がデメリットになります。
データ容量が多いとページを開くまでに時間がかかり、ユーザーの離脱率アップにつながる恐れがあります。また、動作が重く、ページスピードの遅いページは、SEOにおいても評価されにくくなる点も要注意です。
動画の利用によりサイトが重くなった場合は、動画ファイルの画質や容量を落とすなどの施策をご検討ください。
その他にも、動画配信プラットフォームに動画をアップロードして、埋め込みタグでECサイトに動画を設置するなど、ECサイトのサーバー外に動画をアップロードすることで速度の改善を図ることも可能です。
ECサイトで動画を使用する際の種類
ECサイトに動画を活用するメリットや注意点は理解できたものの、実際に自社ECサイトに導入するとなると、どういった内容の動画にすればいいかわからない。
そうおっしゃる事業者の方のために、ここではECサイトで活用できる5種類の動画をご紹介します。
自社の事業内容や、取り扱っている商品の特徴、強化したいサービスなどと照らし合わせ、最適な種類の動画の活用を検討してみてください。
How To紹介動画
コスメや家具、電化製品など、事前に使い方がわかることで購入につながりやすい商品を紹介するのに有効です。
たとえば「メイクモデルを起用して化粧品を使ったメイク方法を紹介する」「食品を調理する過程やアレンジレシピを紹介する」などを動画で紹介すれば、商品購入後のユーザーへのサポート動画としても活用できます。
また、実際に商品を使っている様子をユーザーに動画で伝えることで、商品購入後のイメージをしてもらいやすいというメリットもあります。
さらに、組み立て方や使い方が複雑な商品を紹介する場合にもおすすめです。写真や文章だけでは説明が難しい場合は、How To動画を取り入れると良いでしょう。
コーディネート紹介動画
動画を使った販売スタッフによる洋服の着こなしのポイント紹介や、種類の異なる家具の組み合わせ紹介などは、一度に複数の商品をアピールすることも可能なので、ぜひ積極的に導入してみましょう。
例えばアパレル商品なら、年齢や体型の異なる販売員に商品を試着してもらい、コーディネートのポイントや着こなしのコツを紹介することで、ユーザーが着用イメージをしやすくなります。
家具の場合であれば、部屋のトーンに合うアイテムの組み合わせや、サイズバランスを実感してもらうことが可能です。
また、自分で手に取ってみないとわかりにくい部分(詳細下記)を動画で説明することで、「自分に似合うかもしれない」と思ってもらいやすいというメリットもあります。
アパレル商品の場合は、以下のポイントも動画で詳しく説明しましょう。
・素材の触り心地
・光の当たり具合による色の違い
・着用したときのサイズ感とシルエット
・動いたときの様子 など
生産プロセス紹介動画
たとえECサイト上で「日本国内製造」「GMP認定取得」などと明記していても、ユーザーがその工場を実際に目にすることはできません。
「どのような原料を使っているか」「完成までにどのくらいの工程や期間がかかるか」など、こだわりのポイントを動画で紹介することで、ユーザーに安心してもらうのと同時に、商品の付加価値を理解してもらいましょう。
さらに、商品の企画から実現させるまでの苦労などのエピソードも盛り込めば、よりユーザーに熱意が伝わりやすくなります。
お客様インタビュー動画
クチコミが積極的に活用されていることからわかる通り、「実際に商品を購入した人の意見を参考にしたい」という消費者は世の中に数多く存在します。
実際に商品を購入したお客様の、使用感やお気に入りのポイントなどのリアルな声を動画で配信すると、商品やブランドに対する信頼度アップにつながります。
テキストや画像と違い、ちょっとした表情からも顧客の満足度が伝わりやすいのも動画ならではのポイントです。
ECサイトで動画を使用した事例
それではここで、動画を積極的に活用しているECサイトの事例を見てみましょう。
UNITED ARROWS
大手セレクトショップ「UNITED ARROWS」の公式サイトでは、スーツのオーダー手順を新人スタッフとベテランスタッフのやりとりで解説する動画を掲載。
オーダースーツを作るときの不安や疑問点などの払拭を狙っています。同時にオーダースーツの値段や納期だけでなく、スタイリングイメージなども詳しく掲載しており、よりオーダーのハードルを下げる工夫が施されています。
同社ではこの他にも、スタッフによる既製品コーディネート紹介のショート動画にも力を入れています。
(参考:https://store.united-arrows.co.jp/staff/list/?so=PROF&lm=10W1)
SEILIN ONLINE SHOP
若者に人気のセレクトショップ「ハリウッドランチマーケット」を展開する聖林公司が運営する「SEILIN ONLINE SHOP」のコーディネート紹介動画です。
インスタグラムやYouTubeで発信した、スタッフによる様々なコーディネート動画をECサイト内に掲載。動画で紹介されたアイテムをすぐに購入できる、コマース機能も備えています。
enherb
ハーブティーやアロマをはじめ、ハーブコスメやティーポットなど、ハーブ関連商品を取り扱う「enherb(エンハーブ)」のECサイトでは、公式インスタグラムなどでスタッフが発信している動画をECサイト内に掲載しています。
スタッフが商品を実際に使用しながら動画で魅力を伝えると同時に、テキストでも詳しく解説し、購入ページへのリンクも設定することで購入促進を図っています。
enku
2013年に東京で設立された藍染革小物のブランド「enku(エンクウ)」のサイトでは、ブランドのコンセプトや世界観、革の染色工程などを動画で紹介、伝統工芸品の素晴らしさをPRしています。
日本の藍染めはジャパン・ブルーとも呼ばれ海外にも愛好家が多いのですが、価格が安いとは言えないだけに購入ハードルが高く、国内市場で決して普及しているとは言えません。
そこで、こうした製造工程などを詳細に追った動画を掲載することで、ユーザーに商品の付加価値を理解してもらうことを促進しています。
IKEA
こちらは、商品の組み立て方や使い方の動画をECサイト内に掲載している事例です。
購入してから組み立ての工程が必要とされる商品や、多くの機能が搭載されている商品などは、説明書だけでは伝わりにくく、こうした動画があるだけでも購入ハードルを下げる効果があります。
IKEA公式サイトでは、ネジの仕組みやネジ締めのコツ、ヒンジの調節方法などを動画も含めて詳細に解説しています。
【まとめ】動画×ECサイトで売上・集客を伸ばす活用事例をご紹介!
ECサイトでの動画の活用は、「情報量が豊富で商品の魅力を伝えやすい」「SEOに有利に働く」「他社サイトとの差別化につながる」などのメリットをもたらし、売上アップやブランドイメージ向上の期待が持てます。
しかしクオリティの高い動画を撮影・配信するとなると、専門的なスキルやノウハウを必要とします。
ルビー・グループでは、これまで数多くのラグジュアリーブランドのECサイト構築や、ライブコマースの配信なども手がけてきました。
社内にささげ(ECサイトに掲載する商品画像や説明文、サイズ表記など、商品情報を作成することを目的とした業務)チームが在住、また撮影スタジオも社内に用意していますので、商品やブランドが持つヒストリー、カルチャー、メッセージを大切にしながら、世界観や魅力を最大限に消費者に伝える動画の撮影が可能です。
自社ECサイトで動画の活用を検討されているようでしたら、ぜひ一度ルビー・グループにご相談ください。
この記事を書いた人
ルビー・グループ コーポレートサイトチーム
各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!