LINEで実現する“カゴ落ち”対策:ステップ配信でCVRを取り戻す方法

2025.07.23

2025.07.23

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LINEで実現する“カゴ落ち”対策:ステップ配信でCVRを取り戻す方法のメインビジュアル
「カゴ落ち」とは、ECビジネスにおいて顧客が商品をカートに入れたものの、購入手続きを完了せずにサイトを離脱してしまう状態を指します。売上減少や費用対効果の低下につながるだけに、放置せず効果的な対策が必要です。

本記事では、ECサイトとLINEのステップ配信との連携による、「カゴ落ち」対策をご紹介。ECカートとLINEの連携手法や、ステップ配信の設計例、LTV向上まで見据えた施策展開などについて解説しています。

「LINEでカゴ落ち通知はどうやって送れるのか?」「カゴ落ちだけでなく、購入後のフォローやリピート施策にも展開したい」という方はもちろん、「ECサイトのカート投入数に対して購入完了数が伸びず、機会損失を感じている」「メールでのカゴ落ちリマインドの開封率・CV率が低下傾向にある」という方も、是非ご一読ください。

なぜ“カゴ落ち”が起こるのか?EC運営の死角にある機会損失

なぜ“カゴ落ち”が起こるのか?EC運営の死角にある機会損失のイメージ画像
米国企業の調査によると、ECサイト上でのカゴ落ち率は約70.2%となっており、また、カゴ落ちを通じて発生する機会損失額は、売上の約2倍にものぼるとされています。

このようにECサイト運営者にとって深刻な問題である「カゴ落ち」ですが、発生する原因は主に以下のいずれかのパターンになります。

予期せぬ費用(送料、手数料、税金など)

・送料が高い、または不明瞭
カートに入れた後に高額な送料が表示されたり、送料がいくらかかるのか分かりづらかったりすると、購入をためらう原因に。

・手数料の存在
決済手数料やその他の手数料が追加されることで、当初の予算を超えてしまい購入を断念するケースも。

・税金の表示
税抜き価格で表示されており、最終的な決済段階で消費税が加算されると、予期せぬ出費と感じてしまうことがあります。

複雑な購入プロセス

・アカウント登録の強制
ゲスト購入の選択肢がなく、購入のために新規アカウント登録を求められると、手間を感じて離脱するユーザーが多い。

・入力項目が多い/分かりにくい
住所や支払い情報などの入力項目が多すぎたり、どこに何を入力すればよいか分かりにくかったりすると、ユーザーはストレスを感じがち。

・ページ遷移が多い
購入までに複数のページを移動する必要がある場合、途中で面倒になって離脱する可能性も。

・セキュリティへの不安
クレジットカード情報の入力フォームなどが安全でないと感じられると、購入をためらう傾向に。

決済方法が不足または不便

・希望する決済方法がない
クレジットカード決済、銀行振込、コンビニ払い、キャリア決済、後払いなど、ユーザーが慣れている、または希望する決済方法がない場合、購入を諦めることも。

・決済プロセスの問題
決済画面でエラーが発生したり、読み込みに時間がかかったりすると、ユーザーは不安を感じて離脱してしまう。

サイトの使いやすさ(UX/UI)の問題

・ページの読み込みが遅い
ページの読み込みに時間がかかると、ユーザーはイライラしてサイトを離れてしまいます。

・モバイル対応が不十分
スマートフォンやタブレットからの操作がしにくい、表示が崩れるなど、モバイルフレンドリーでない場合、多くのユーザーが離脱します。

・サイトデザインが分かりにくい
ナビゲーションが分かりにくい、商品情報が見つけにくいなど、サイトのデザインがユーザーフレンドリーでない場合もカゴ落ちにつながります。

・エラーメッセージが不親切
入力ミスがあった際に、どこが間違っているのか具体的に示されないと、ユーザーは修正に手間取り、カゴ落ちに。

心理的な要因

・比較検討のためにキープ
他のサイトの商品と比較するために、とりあえずカートに入れておき、そのままにしてしまうというケースが多々あります。

・衝動買いの結果
衝動的に商品をカートに入れたものの、冷静になって本当に必要か考え直した結果、購入をやめることがあります。

・緊急性の欠如
「今すぐ買わなくてもいいか」と感じると、購入を先延ばしにしてそのまま忘れてしまうことがあります。

これらの要因を分析して改善策を講じることで、カゴ落ち率を低減し、コンバージョン率の向上につなげることができます。

LINEでカゴ落ちフォロー:メールに代わる新・リマインド手法

まず最初に、LINE連携のメリットについて紹介していきます。最大のメリットはLINEの開封率の高さです。

従来のECサイトからの通知手段として、メールが主に使われておりましたが、なかなか読まれにくいというデメリットがありました。LINEの通知であれば、日頃からLINEを開いている際にリアルタイムにお知らせが届くため、メールよりも気が付きやすくなります。

そのため、一般的なメルマガの開封率が10〜30%程度であるのに対し、LINEは50%以上の開封率を記録することも珍しくありません。

またLINEには、テキスト形式以外にも動画や画像を1つの吹き出しにまとめて配信できるリッチメッセージ機能があります。テキストだけでメッセージを配信するのに比べ、強いインパクトがあり、閲覧した顧客の意識に残る可能性が高いうえ、一度に多くの情報を伝えることも可能です。

さらに、カゴ落ちした顧客に向けて、購入完了を促す連絡や特定の商品を閲覧した顧客へのリマインドなど、ユーザーの行動に応じたメッセージ配信もLINEを通して行えます。

ECサイトとLINEを連携させる手法は、大きく分けてShopifyなどのECプラットフォームの機能を利用する方法、カスタム開発、またはMAツール(マーケティングオートメーションツール)を利用する方法があります。それぞれの特徴と連携方法について解説しましょう。

ShopifyなどのECプラットフォームの機能を利用する方法

Shopify Flow

Shopifyには、Shopify Flowというマーケティングオートメーション機能が備わっています。これを利用して、LINE公式アカウントと連携し、特定のトリガーに基づいて、LINEメッセージを自動送信するなどの設定が可能に。カート放棄された商品に関するリマインドメッセージなどを自動化できます。

Shopifyアプリの活用

Shopifyアプリストアには、LINEと連携できる様々なアプリが公開されています。これらのアプリを利用することで、LINEメッセージの配信、LINE Payでの決済、LINE公式アカウントの友だち追加促進など、より高度な連携が可能です。

カスタム開発する方法(API連携)

ECサイトとLINE公式アカウントをAPIで連携させることで、より柔軟な連携が可能です。例えば、LINE Messaging APIを利用して、商品情報や注文状況をLINEで通知したり、LINE上で注文を受け付けたりすることができます。

MAツール(マーケティングオートメーションツール)を利用する方法

LINEと連携可能なMAツールを導入することで、より高度なマーケティング施策を実行できます。例えば、顧客の属性や行動履歴に基づいて、ターゲットを絞ったLINEメッセージを配信したり、LINE広告と連携して広告効果を測定したりすることができます。

MAツールは、顧客の購買行動を分析し、パーソナライズされたメッセージを配信することで、顧客エンゲージメントを高めるのに役立ちます。

ステップ配信の設計例:最適なタイミング・文面・配信回数とは

LINEでユーザーにメッセージを配信するのにあたっては、ただ闇雲に送るのではなく、タイミングや内容を考えて送ることで効果は劇的に変わります。

LINEステップ配信は、あらかじめ設定した条件に基づいて、複数のメッセージを自動で段階的に配信する機能です。これにより、顧客の状況やニーズに合わせた情報提供を効果的に行うことができます。

ここでは、LINEステップ配信を利用した、カゴ落ちリマインドの設計例についてご紹介します。

1通目(カゴ落ち15分後):カゴ落ちした商品の購入を促すメッセージ

カゴ落ち後、時間が経過するほど、ユーザーの購買意欲は低下する傾向があります。そのため、できるだけ早いタイミングでリマインドメッセージを送信することが重要です。

LINEのステップ配信で、カゴ落ち後15分後にリマインドメッセージを送信することは、カゴ落ち対策として有効な手段の一つです。

ステップ配信の開始条件として、カゴ落ちをトリガーに設定し、ステップ配信のタイミングを「15分後」に設定します。これにより、カゴ落ちが発生してから15分後にメッセージが自動的に送信されます。

2通目(1日後):「送料無料」や「〇〇%OFF」などの特典を提示

カゴ落ち後15分で1通目のリマインドメッセージを送信した後、時間をおいて2通目、3通目と、異なるメッセージ内容でステップ配信を行うことができます。

2通目では、「送料無料」や「〇〇%OFF」などの特典特典や、割引クーポンの提供をしてみましょう。

3通目(3日後):購入を迷っているユーザーへの後押しメッセージ

さらに3通目で「在庫僅少」であることなど、購入を迷っているユーザーへの後押しメッセージを送りましょう。

配信文面は「ユーザー目線」で

ステップ配信で送るメッセージは、ユーザー目線の内容にしなければ上手く関係性を構築できません。

そのために、しっかりとペルソナを定めることがポイントです。設定したペルソナのライフスタイルやニーズを想像して、どのようなアクションを起こしてほしいのか、意思決定に寄与する情報は何か、などを考慮してメッセージを作成しましょう。

「売り込み感を減らす」「会話調」といった表現の工夫わだけではなく、「選択肢を用意する」など、ユーザーの負担を減らす試みも重要です。

こちらから伝えたい情報を一方的に配信してはユーザー離れにつながりますので、しっかりとユーザー目線を意識しながら配信コンテンツづくりを検討することが大事です。

売上に繋げるためのLINE配信設計:LTV向上まで見据えた施策展開

LINE配信を活用すれば、カゴ落ち対策だけでなく、LTV向上まで見据えた施策も可能です。下記のフローをLINE公式アカウントのステップ配信で実現することで、顧客エンゲージメントの向上や売上の獲得が期待できます。

LINE連携で成果を最大化するためのチェックリストもご紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。

LTV向上を見据えたLINE配信フロー

①購入直後
・顧客の購入完了をLINEで通知し、感謝のメッセージを送信
・商品が発送されたら、発送完了通知と合わせて、商品到着までの目安日数を伝達

②商品到着後
・商品到着から数日後、レビューを促すメッセージを送信
・レビュー投稿に対するインセンティブ(LINEポイントなど)を提示することで、レビュー投稿率を高める

③リピート促進
・レビュー投稿を確認後、顧客の購買履歴や興味関心に基づいた関連商品をリコメンド
・割引クーポンや限定セール情報など、リピート購入を促す特典を提供
・定期的な情報配信で、顧客の関心を維持し、再訪を促進

LINEステップ配信で成果を最大化するためのチェックリスト

基本設定
・タイトル:管理しやすいタイトルを設定
・タイムゾーン:配信時間が正確になるように、タイムゾーンを設定
・有効期間:どの期間の友だちを対象にするか、配信期間を設定
・配信数の上限:配信するメッセージ数に上限を設定

メッセージ内容

・配信目的:各メッセージの目的が明確であるか
・ターゲット:誰にメッセージを送るのか、ターゲットが明確か
・文章:読みやすく、伝わりやすい文章になっているか
・ボリューム:メッセージの長さが適切か
・誤字脱字:誤字脱字やリンクの間違いがないか
・画像/クーポン:表示や内容に問題がないか
・配信タイミング:メッセージの配信タイミングが適切か

シナリオ
・シナリオ分岐:タグや属性によるシナリオ分岐が正しく設定されているか
・開始条件:開始条件が正しく設定されているか (カゴ落ち状態である、など)
・ステップ数:ステップ数が適切か

テスト配信
・複数端末での確認:様々な端末で表示や動作を確認

効果測定
・分析:配信後のレポートを分析し、改善点を確認
・ブロック率:ブロック率や反応率を把握し、次の施策に活かす

まとめ

「カゴ落ち」は、ECのCVR低下を引き起こす大きな要因の一つです。ここでご紹介したLINEステップ配信の施策を参考に、すぐにでも対策をすることをおすすめします。

しかし、根本的な原因を解決しないままだと、いつまでたっても状態は改善しません。「カゴ落ち」の原因としては、「送料や手数料の高さ」「決済方法の少なさ」「サイトの使いにくさ」「セキュリティへの不安」「返品ポリシーの不明確さ」などが挙げられます。
こうした根本的な問題点を把握し、解決するためには、自社努力だけでは困難なケースも多々あります。

ルビー・グループは、ECサイトの立ち上げから運営、マーケティング、物流まで、幅広いサービスをワンストップで提供しています。特に、ラグジュアリーブランドのECサイト運営に強みを持ち、広告運用、SEO、インフルエンサーマーケティングなど、多様な手法でECサイトの売上向上を支援しています。

LINEとの連携や、ECサイトの最適化などについてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!

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