
現在は、ECサイト運営に関するすべて、あるいは一部を代行する代行企業が存在するため、そうした企業にECサイト運営の委託を検討されている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ECサイト運営において外注できる業務範囲や、外注することで発生するメリット・デメリット、外注化に成功した事例、失敗しないための外注パートナーの選び方などについて紹介しています。
「EC運営を外注する場合、どこまで委託できるのか?」「外注するメリット・デメリットは?」という方はもちろん、「外注をしてしまうと、自社にノウハウが残らないのではないか不安である」「どこまで内製化すべきか、切り分けの最適解を知りたい」という方も、ぜひご一読ください。
EC運営はどこまで外注できる?業務範囲とパターン

具体的には以下の通りになります。
サイトの制作・更新および最適化
・ECサイトのデザイン・コーディングなど
・新しい商品情報やプロモーション、ニュース記事などのコンテンツ更新
・購入プロセス簡略化やナビゲーション改善などのUX最適化
・分析ツールを駆使したユーザーインターフェイス(UI)の最適化
・画像サイズ圧縮、不要なスクリプト削除、サーバー設定などによるサイト速度最適化
商品情報登録業務
・商品名、価格、サイズ、色、材質などの商品の詳細情報や、商品特徴やセールスポイントなどの収集・整理
・ささげ業務(商品の採寸、撮影、原稿、画像の加工など)
・SKU(Stock Keeping Unit)などの管理コードを設定した、商品データの入力・登録
・商品を適切なカテゴリーやサブカテゴリーに分類、キーワードやタグを設定
広告・販売促進支援
・SNS広告や検索エンジン広告などのWEB広告の展開
・SEOコンテンツマーケティングやインフルエンサーマーケティングなどの実施
・「夏のクリアランスセール」などのセールや、短時間限定のタイムセールなどの実施
・投稿者にクーポンやポイントをプレゼントするなど、レビュー投稿促進
・メルマガやLINE配信など、リピーター獲得施策の実施
在庫・物流管理
・「商品の入荷」「検品」「保管」「ピッキング」「梱包」「出荷」など、在庫・物流管理業務全般
カスターサポート
・「問い合わせ対応」「返品・交換対応」「顧客の意見をフィードバック」など、カスターサポート業務全般
上記のような業務すべてを、実績と信頼のある会社にトータルで運営を代行できれば安心ですが、当然費用がかかるため、実際は予算の範囲内で部分的な委託をする場合が多いです。まずは、現状どういった業務にどれだけのリソースがかかっているかをチェックして、委託すべき業務を整理しましょう。
また、ECサイト運営業務を完全に外注するのか、いずれは自社ですべて行うのかといった方針によっても、代行をお願いする会社や、委託する業務範囲も異なってきます。
いずれ完全に自社運営に移行することを考えているのであれば、ナレッジを蓄積できるか、自社運営に切り替えた後もサポートを受けられるかなどのポイントを考慮して、代行会社を選ぶことをおすすめします。
EC運営を外注するメリット・デメリット
次に、代行会社にECサイトの運営を委託するメリットとデメリットについて解説していきます。
メリット
①人件費の圧縮が可能
ECサイト運営事業において、商品の入出荷や在庫管理などの作業は多くの人手を必要とします。こうした作業の場合は、件数に応じて人員を確保しなければいけないため、必要に応じてアルバイトやパートの募集などもしなければならず、EC運営以外の手間や作業コストもかかってしまいます。
EC運営を外部の企業へ委託することで、こうした突発的に発生する人件費や手間などを抑えることが可能になります。
②顧客満足度や売上の向上が期待できる
EC運営代行会社に業務を委託すると、ECサイトの制作・運用や、物流のプロが業務を担ってくれるため、ECサイトや物流管理などのクオリティーを上げられます。
これにより顧客満足度が上がり、リピーターが増える可能性もあるため、売上の向上が期待できます。
またEC運営の委託によって空いたリソースを、商品開発などのコア業務に回すことができるのも、EC運営を外部の企業に委託するメリットの一つです。
③ECサイト運営のノウハウを蓄積できる
運営代行サービスの中には、単なる業務代行にとどまらず、コンサルタントとして知識やスキルを共有・指導してくれる会社も存在します。プロのサポートを受けながら、自社内にECサイト運営に関するノウハウを蓄積できる点もメリットです。
デメリット
①自社にノウハウが蓄積されない場合がある
EC業務を自社で行う場合、各種作業をスタッフが繰り返し行い、常に業務フローを見直しを行い効率化することで、次第にノウハウが蓄積されていきます。
しかし、これらの業務を外部の会社に丸投げしてしまうと、EC運営における具体的な作業手順やノウハウなどが社内に蓄積されません。
その場合、いつまでたっても外部の会社に依存せざるをえず、自社でECサイトを運営する道が閉ざされてしまいます。
代行会社との定期的なミーティングなどを行うことで情報を共有しながら、ノウハウの蓄積をしていきましょう。
②情報漏洩のリスクが高まる
ECサイトの運営代行会社を利用する際は、少なからず情報漏洩などのリスクが高まる点に注意が必要です。
運営代行を委託する際に伝える情報の中には、顧客の個人情報も含まれます。こうした重要な情報の漏洩を未然に防ぐために、委託先のセキュリティ対策をよく確認し、委託する会社との契約で情報管理の徹底を義務付けるなど、しっかりとセキュリティ対策をすることが重要です。
③対応の遅延が発生する場合がある
ECサイトの運営を外部の会社に依頼すると、たとえば委託業者の担当者が不在の場合に急なトラブルが起きたり、顧客からの問合せが入ると、対応が遅れるというケースも出てきます。
土日や休日など、委託先に問い合わせるまでの時間がかかってしまうと、顧客満足度を下げてしまう恐れがあります。
このような事態に陥らないためにも、外部の会社に委託するのと並行して、社内人材の育成を行うことが重要になります。
EC運営を外注して成功した事例紹介
それではここで、ECサイト運営の外注に成功した企業の事例をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
知見ゼロの状態から、EC事業の立ち上げに成功
高品質なメンズインナー/靴下/パジャマを製造・卸し・販売を手がける株式会社レナウンインクスでは、社内にECの知識を持った人材が一切いない状態だったため、ECの立ち上げから運営支援まで外部企業に運営を委託。ECサイトの構築から運用支援、商品撮影など、EC運営に関する業務を全てサポートしてもらっています。
別のECサイトの運営支援をお願いしている会社では、定期的なミーティングがなくチャットだけのやりとりで、どこか他人事のように対応されている感じがあったそうですが、継続して毎月色々な提案をもらったり、サポートの距離感が近く、レスポンスも早いなど、親身な支援をしてもらうことで、EC事業の立ち上げに成功。現在は、EC事業の年商1億円達成を目指しています。
EC事業開始初年度から数千個の受注を獲得
アテナ製薬株式会社では、デオドラントクリームのEC販売事業をスタートするのにあたり、事業自体の全体設計や立上げ〜運用を外部の代行会社に委託。
具体的には「立上げに伴うリサーチと戦略設計」「商品製造」「商品デザイン」「同梱物設計」「カートシステム設計」「サイトデザイン」「物流設計」「CS管理」「マーケティング全般」「CRM」をすべて手がけてもらっています。
季節商品であることからニーズのある期間を見定めて開始、初年度から数千個の受注獲得に成功しています。
またLTVを確保するためにメルマガや同梱物、キャンペーンを使用して継続率の確保にも努めているということです。
ECサイトリニューアルから3年で売上が2倍に増加
沖縄県で人気のかりゆしウェアを手がける株式会社日進商会では、自社ECサイトの広告展開ととサイト制作を他の業者に依頼をしてきましたが、注文は細々としか入らない一方で広告費が年々上がり、利益が出ない状況でした。
そこで新たに外部の企業の広告運用と商品ページの改修を依頼したところ、売上は2倍に伸び、広告費の削減に成功。この結果を受けて全面的なサイトリニューアルも委託することになり、商品カテゴリーの整理やお客様目線のサイト改善を断行しています。
顧客から商品への問い合わせが多かった原因が「商品が見つけにくいこと」だと判明し、商品カテゴリーを整理。顧客からの問い合わせ数が減ったことで、対応の手間も軽減しただけでなく、顧客にとっても問い合わせをする必要がない利便性の高いサイトへとリニューアルしました。
結果、売上は毎年20〜30%成長し、3年目にはトータルの売上が2倍に到達しています。
1年でサイトのPVが10万に、SNSのフォロワー数は5.5倍に成長
知育玩具や英語教材などの国内総合代理店である株式会社ドリームブロッサムでは、新規に立ち上げたEC事業の認知・集客拡大のために、SEOとSNSマーケティングの強化が不可欠と考えていました。
しかし、社内にECサイト運営に関する知見を持った社員がいなかったため、自社だけでは有効な施策を実施することに限界を感じていました。
そこで、SEO戦略とSNS戦略に豊富な経験を持つ外部の代行会社に業務を委託、自社の社員との個性チームにより、SEOによる認知・流入拡大を目指した以下のマーケティング施策を実行しました。
・ターゲットとなる子育てママパパ向けにコンテンツを企画・作成
・トレンドに合わせたプレゼントキャンペーンを企画
・社内メンバーとノウハウや知見を共有、人材育成とナレッジ蓄積を推進
同時並行でSEOとSNS施策を実施することで、1年で安定的に月間10万PVを獲得できるサイトへと成長させることができました。また、3ヶ月の運用でXのフォロワー数が2,000から11,000へと拡大し、自社ECでの購買につながる顧客基盤の構築に成功。
社内の限られたメンバーと外部人材とのコラボレーションにより、垂直的な成長を実現しています。
失敗しないための外注パートナーの選び方と運用ポイント
EC運営サイト運営を外部の企業に委託する場合、どんなステップが必要なのか。失敗しないパートナー選びのためには、どんな点に注意すべきか。以下で詳しく解説していきます。
委託すべき業務範囲の特定
適切にEC運営業務を外注するための基準は、自社の状況を確認することから始めましょう。
例えば、マーケティングが得意であれば、商品企画やプロモーションの企画は内部で行い、一方で物流やカスタマーサポートなどの運営が苦手であれば、これらをアウトソースすることが考えられます。
まずは、自社の業務を詳細に分析し、どの業務が最も時間とコストを消費しているかを評価することが重要です。
運営代行会社のチェック
EC運営代行を評価する際には、提供されるサービス内容以外にも、実績や得意分野、サポート範囲、料金体系などを正確に理解する必要があります。
>「実績」「得意分野」のチェック
グルメやアパレルなどECサイトが取り扱っている商材によって、商品の販売方法や商品の管理、宣伝の方法、顧客のフォローなどアプローチ方法も異なってきます。どの分野のECサイトを得意としているか、豊富な実績があるのかによって、選定すべき運営会社が異なってきます。自社のECサイトの領域に強い運営代行会社を選びましょう。
>「サポート範囲」のチェック
将来的にECサイトの完全自社運営を検討しているのであれば、サポートサービスがついている運営代行会社を選びましょう。最初は業務を外部委託してスペシャリストに任せつつ、自社でも担当者を置いてノウハウやスキルを蓄積させ人材を育てていくことができます。
>「委託料金体系」のチェック
ECサイト代行会社の費用体系は、大きく分けて3つに分けられます。
・固定報酬型:一定の期間ごとに定額の費用が発生
・成果報酬型:売上の〇%など成果により報酬額が変動
・複合型:固定費用+成果に応じて別途報酬額が発生
いずれの料金体系が自社にフィットするか、事前に必ずシミュレーションをしましょう。
>「権利関係」のチェック
委託を依頼した後にトラブルになりやすいのが「著作権」です。デザインやソースコードの著作権がどちらに帰属するのかを事前に明確にしておきましょう。
段階的な外注導入と進捗確認
ECサイト運営の外注を成功させるためには、一度の契約ではすべてを委託せず、段階的に運営を委託するという判断も必要です。
依頼した会社の実力や相性などを正確に判断するために、スモールスタートで始め、徐々に依頼する範囲を広げていきましょう。
また業務を委託したからと言って、外注先に任せきりにせず、必ず状況確認を行うことが重要です。
外注先からの進捗報告を毎日受け取り、また定期定期にミーティングを開催するなどして状況を把握し、問題があれば早期に対応しましょう。
まとめ
EC運営は、業務の内容が幅広く、事業規模によってはすべてを自社で行うことが困難ですが、委託することで業務をプロに任せられます。
また、運営代行の範囲・特徴を正しく理解すれば、自社リソースを最大限に活用できるため、EC運営の外注は単なる人手不足対策ではなく「成長加速」のための戦略的選択肢と捉えることができます。
ルビー・グループではこれまで、ラグジュアリーブランドを中心に多くのEC運営代行の実績がございます。
「エンジニア」「デザイナー」「オペレーション」スタッフを配した専任のチームを組成し、サイト構築、デザイン、マーケティング、オペレーション、ささげ、物流など各分野のプロフェッショナルが対応いたします。
また、ECサイトの売上向上を目的とした、様々なマーケティングソリューションを提供。 イベントやセールの企画はもちろん、カートの改善に向けた分析と改修案のご提案、会員基盤や各種広告を活用した集客施策まで、経験豊富なスタッフがトータルでサポートいたします。
ECサイトの立ち上げや運用でお困りなら、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム
各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!