Shopifyで多言語対応サイトを構築する方法

2025.01.22

2025.01.22

この記事は約8分で読み終わります。

Shopifyで多言語対応サイトを構築する方法のメインビジュアル
近年、ECサイト運営者の間で、多言語対応の重要性が高まっています。しかし、多くの人々は、多言語対応の実装が複雑であると感じており、どこから始めれば良いかわからないという悩みをお持ちなのではないでしょうか。

本記事では、eコマースプラットフォーム「Shopify」で多言語対応を実現する、具体的な方法(手順やツールなど)について解説しています。

「海外市場への展開を検討し、多言語対応の必要性を感じている」「Shopifyを検討中または利用中だが、多言語対応の仕組みや実装方法がわからない」という方はもちろん、「翻訳作業の効率化方法や自動翻訳機能の精度について調べている」「多言語対応後の各国ごとのSEO対策方法について知りたい」という方も、是非ご一読ください。

多言語対応の必要性とメリット

多言語対応の必要性とメリットのイメージ画像
国内消費市場がシュリンクし、さらに急激に円安が進んでいることから、越境ECの構築が最大の懸案事項になっているEC事業者は多いと思います。

その一方、「ECサイトの多言語化は、Googleなどに実装されている自動翻訳機能があれば十分に実現できる」と思われているEC事業者の方も多いのでは?しかし現実に目を向けてみると、ユーザー側のネット環境によっては、自動翻訳機能を使用できない場合もありますし、自動翻訳の精度にも大きな不安があります。

さまざまな言語の顧客へ効果的にアプローチするShopifyの多言語対応機能は、越境EC実現のための重要なツールです。英語圏だけでなく、スペイン語圏、中国語圏など、世界中の消費者が母国語で自社の商品情報を得ることができれば、世界中でブランドや製品に対する理解が深まり信頼感が増します。購買意欲の向上に直結し、カート放棄率の低下にも繋がるでしょう。

さらに、多言語対応はカスタマーサービスの質を向上させ、言語ごとの顧客ニーズに応じたサポートが可能となるなど、顧客体験も飛躍的に向上します。後述するようにShopifyは多言語化対応が容易なところが魅力ですが、他にもEC越境実現において大きなアドバンテージがあります。

まずEC事業において絶対に欠かせない決済や配送においては、海外対応の多彩な決済方法が用意され、海外配送アプリも豊富に存在しています。また、最高品質のCDN(Webコンテンツの配信を円滑化するために構築されたネットワーク)を持つグローバルなECプラットフォームであることから、Webサイトにアクセスが集中しすぎても、サイト表示の遅延を心配することがほとんどなく、ショップ運営に集中できるところに大きなメリットがあります。

さらにShopifyなら、FacebookやInstagramなどのSNSとの連携や、ebay、Amazonなどの海外ECモールへの出店など、多様なチャネル展開が可能。一つの画面で一括管理することができるため、顧客へのリーチポイントを増やしながらECサイトの運用ができる点も、EC事業者にとって見逃せないポイントでしょう。

このように、Shopifyを使って多言語対応のショップを構築・運営することは、多様な文化的背景を持つ顧客からの信頼を獲得するとともに、国際市場での売上げ拡大に直結する、現代のEC事業者にとって必要不可欠な施策と言えるのではないでしょうか。

Shopifyで多言語化を実現する方法

それでは、Shopifyのショップで多言語化をするための、実装手順を説明します。

Shopifyで多言語対応を行うためのステップは以下の通りです。

「テーマ」の選択

多言語対応を行うには、使用する「テーマ」が多言語対応に対応しているか確認し、未対応であれば対応可能な「テーマ」へ切り替える必要があります。無料の「テーマ」はすべて多言語化対応がなされていますが、有料の「テーマ」は一部未対応なので、必ず確認しましょう。

言語の追加

管理画面から「ストアの言語」を選択し、「言語を追加する」ボタンをクリックすれば、簡単に多言語に対応することが可能。ストア全体の文言だけでなく、商品詳細ページなど、各種ページで表示される言語を自由に設定することができます。

多言語対応アプリのインストール

Shopifyのアプリストアには、多言語対応アプリが豊富に用意されています。こうしたアプリを使用すれば自動翻訳機能を利用することができ、翻訳作業の効率化が可能になります。また、言語切り替えボタンが簡単に追加できるなど、ショップの多言語対応を容易に行うことができます。

追加設定

グローバルマーケットを対象にショップ展開する際は、多言語対応だけでなく、それぞれの国・地域に合わせて以下の設定や対応も必須になるのでご注意ください。

・決済方法の最適化
・表示金額の現地通貨への変換
・海外発送(送料設定など)
・海外向けポリシー(配送・返金など)設定

おすすめの多言語対応アプリ

多言語対応アプリにはさまざまな種類があり、特徴や機能もそれぞれ異なります。ここでは、Shopifyでおすすめの多言語対応アプリの一部をご紹介します。

langify

無制限に複数の言語を追加できる多言語対応アプリ。翻訳したい言語を設定した後は、ワンクリックでサイトを多言語化できます。

また訪問客の使用言語を瞬時に判断し、該当言語に翻訳されたページへ自動的にリダイレクトしてくれるため、ユーザーが自ら言語の切り替えをする必要がなく、離脱防止にも繋がります。

翻訳した言語のページごとに別ドメインが設定され、さらにメタタグなども翻訳されるため、言語に合わせたSEO対策が可能なところも重要なポイントと言えるでしょう。

ただし、サイト内の言語を全て自動翻訳してはくれないので、手入力で文章や商品名を他言語に変更しなければいけないので注意が必要です。

Weglot

世界中の5万社以上で活用され、Shopify上のすべてのテーマやアプリに対応しているWebサイト翻訳アプリです。ノーコードで対応することがでるので作業工程も大変少なく、インストールした瞬間から翻訳機能を簡単に起動させることができます。

設定できる言語は100言語以上で、1つの管理画面で一元管理が可能。専門家が翻訳をするため、海外サイトで見かけるような不自然な翻訳がなくなる点も助かります。
顧客の言語に合わせて自動リダイレクトさせる機能も有し、各言語の翻訳ページのURL(Google専用)が発行されるため、SEO対策にも事欠きません。

さらに、支払いページやメール通知文など、機能上の言語もすべて翻訳できるところも大きなメリット。手動で翻訳文を修正したり言い回しを変えることも可能と、フレキシブルな対応もできます。

Interlingue

株式会社ミクスローグという日本のソフトウェア開発会社が展開しているアプリなので、日本語によるサポートが受けられるところが最大の魅力です。また、大量の商品点数があっても翻訳表示の速度が早い、という点も強みです。

コンテンツの一括翻訳やページごとの翻訳などが行えるほか、言語切り替えボタンのデザインや配置を自由に設定できます。また、翻訳の品質管理機能も備えており、高品質な多言語サイトを構築できます。

翻訳品質を保つためのポイント

機械翻訳は大変便利ですが、業種やサービス、取り扱う商品ジャンルなどによって、一部の単語や表現を特定の単語や表現に修正する必要があるケースが多々あります。また機械翻訳では、国や地域による文化的なニュアンスの違いまでを翻訳結果に反映することは困難であるといえます。

ここでは、Shopifyでの翻訳品質を保つためのポイントを具体的に解説いたします。

越境ECサイト言語対応の成功ポイントは、以下の3つと言えます。

ブランドイメージに合わせた翻訳をする

国や地域に合わせて、商品やブランドのイメージにあった表現を使い、正確に世界観を伝えるようにしましょう。また無理に他言語に翻訳する必要がないケースも。

「wagashi」のように日本語をそのままローマ字にした方が伝わりやすい場合もあります。

国や地域に合わせた表現を使う

多くの国では英語、中国語などがメジャーな言語として認知されていますが、スペイン語やフランス語などのヨーロッパ圏の言語が公用語として認められている国も多々あります。まずは販売をする国で利用されている言語をしっかり把握しましょう。

また同じ英語でも国や地域によっては使い方や意味が異なりますし、アメリカ英語とイギリス英語では、同じ意味でもスペルが異なる単語がいくつもあります。特にお金や単位に関する表現は、誤解が生じると大きなトラブルにつながる可能性もあり、注意が必要です。

専門用語の翻訳には要注意

ECサイトでは、商品やサービスに関する専門用語が多く使われます。専門用語を正確に翻訳しないと、ユーザーに誤解を与えてトラブルになったり、信頼を損なったりしてしまうリスクがあります。専門用語の訳し方には注意を払い、可能であれば専門家のチェックを受けるようにしましょう。

近年では、IT技術の進化にともない、無料で利用できる機械翻訳の精度は上がっており、有料の機械翻訳サービスともなると、専門用語データを多数蓄積したデータベースを活用したり、AIによる機械学習でユーザーに合わせた翻訳を提供したりと、クオリティの高さを目指してサービスが展開されています。

しかしながら上述したように、翻訳の品質が完璧とは言えないのも事実で、些細な誤訳が大きなトラブルに繋がる可能性もあります。

そこで現実的なのが「機械翻訳と人力翻訳の併用」になります。機械翻訳した文章や単語を、業界知識がある翻訳者や、販売対象の国・地域の文化や風習に詳しいネイティブスピーカーにチェックしてもらい、手動で修正・変更する方法です。

たとえば前項でご紹介した『langify』の有料オプションサービス「自動翻訳単語」を使えば、非常に優れた、高品質の訳文をワンクリックから数クリックで作成することが可能な上に、部分的に修正を加えることができます。

「自動翻訳単語」はドイツのDeepL SEが開発したAI翻訳技術(DeepL翻訳)を活用したもので、翻訳品質は非常に高く、優れた滑らかな翻訳文という評価のツールとして知られており、グローバル企業の利用者も非常に多いツールです。この機能を利用すれば、機械翻訳をした単語や文章の調整や修正・登録が可能になります。

多言語対応後の運用と注意点

Shopifyを多言語化した後にも注意したいポイントがいくつかあります。ここでは多言語サイトの運用上のポイントを解説いたします。

国・地域ごとの法律や規制を把握した運用をする

多言語化対応を行う際には、販売対象国の法律や規制を把握することが大切です。とくに商品によっては国で規制していることもあるため、意図せずに対象国の法律や規制に違反するケースも想定されます。

トラブルを避けるためにも現地の法律や規制などの知識を持ち、マーケットついて詳しい人にアドバイスを受けることが大切です。

言語ごとにSEO対策をする

自動翻訳は非常に便利ですが、翻訳アプリによっては検索エンジンにインデックス(登録)されない可能性があるなど、SEO(検索エンジン最適化)の面では問題になることがあります。また、アプリの翻訳が不自然だと、場合によっては検索エンジンからスパムと判断されるリスクがあります。

Shopify翻訳アプリはSEOに対する工夫がされているものの、正確さと文化的適切性を確保するために、翻訳結果をレビューする必要がある場合があります。

また、Googleは多くの国で利用されていますが、一部の市場では人気のあるローカル検索エンジンが存在します。これらの検索エンジン向けに最適化すると、大きな競争上の優位性が得られます(たとえば中国では、「Baidu」に焦点を当てることが極めて重要です)。

さらに、言語ごとにキーワードリサーチを行い、メタタグやアルトタグの設定、コンテンツの最適化を行うことが必要です。地域のキーワードを組み込み、地域の文化的好みに合わせてトーンを調整することで、製品のタイトルと説明を各市場に合わせて一貫して最適化することが可能です。

リンクエラーの確認をする

Shopifyのデフォルトのグローバルメニューなどは、選択した言語に合わせて自動的にリンクが調整されるため通常は問題ありませんが、独自に設定したリンクについては、リンクエラーが発生する可能性が考えられます。

翻訳アプリを使用する際には、翻訳されたページでリンクを適切に動作させるために、各リンクを手動で確認することが重要です。

多言語の顧客サポート対応をする

Shopifyストアを越境ECサイトとして運営する場合、FAQページを多言語対応させる必要があります。
多言語対応のテーマ、または翻訳アプリを利用し、越境EC先の現地で使われている言語でFAQを作成すれば、簡単に多言語対応のFAQページを作成できます。

また、多言語AIチャットボットを導入するという方法もあります。これにより顧客はFAQページにアクセスすることなく、チャットボット上でFAQを確認できるようになり、Shopifyストアの利便性がさらに向上します。

【まとめ】Shopifyで多言語対応サイトを構築する方法

Shopifyは、50以上の言語と130を超える通貨に対応し、「アプリを使って主要言語に自動翻訳できる」「言語設定を変更するだけで自動的に表示言語を変えられる」「日本円で設定した価格を米ドルや欧州ユーロなどに自動変換できる」といった機能を実装しています。

また多様な決済方法に対応し、海外発送向けの機能も充実。さらに、Shopifyでネットショップを運営すると、自社ECサイトで販売する商品をAmazonやeBayなどで同時に販売することができるなど、越境EC向けの自社サイトを構築する際にShopifyを活用すれば、大きなアドバンテージとなります。

しかし越境ECで成功するには、国内向けとは異なるノウハウが必要となるため、豊富な実績と経験のある制作会社に依頼したほうが、スピーディに大きな利益が期待できます。

ルビー・グループでは、多くのECサイトで実績がございます。 ラグジュアリーブランドの実績も豊富で、高いクオリティでのサービス提供が可能になりますので、お困りの際は、ぜひご相談ください。

ECサイト開発サービス詳細リンクバナー ECサイト開発サービス詳細リンクバナー

この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!

もっと見る