EC-CUBEで定期購入(サブスクリプション)を始める方法

2025.01.16

2025.01.16

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月額や年額などの定額料金を支払うことで、一定期間商品やサービスを利用できるビジネスモデル「定期購入(サブスクリプション)」。ユーザーにとっては手間なく必要な商品を手に入れることができ、企業にとっては安定した売上が見込めるというメリットがあることから急速に普及。国内の市場規模は年々右肩上がりで上昇し、今後も上昇していくことが予測されています。

オープンソースのECサイト構築パッケージ「EC-CUBE」を利用したECサイトでも、この定期購入サービスが数多く導入されています。

本記事では、「EC-CUBE」を利用したECサイトに定期購入サービスを導入する方法と注意点や、導入事例などをご紹介します。「定期購入の導入や具体的な取り組み方を調べている」「定期購入の導入における注意点が知りたい」という方は、ぜひご一読ください。

定期購入モデルの基本とは?

定期購入モデルの基本とは?のイメージ画像

それではまず、定期購入(サブスクリプション)モデルの概要と、導入する際に「EC-CUBE」を利用するメリットについて説明いたします。

定期購入(サブスクリプション)とは、一定期間ごとに商品やサービスを提供し、その対価を定期的に支払う契約形態のことを指します。特に、化粧品・飲食品・日用品・書籍などの消耗品や、季節に応じた商品などが定期購入に適していると言われてきましたが、近年ではアパレル分野においても定期販売サービスを導入する企業が増えています。

消費者にとって、手間を省きつつ必要な商品やサービスを確実に手に入れられる一方、ブランドやショップにとっては、以下のようなメリットがあります。

安定的な収益が見込める

顧客が定期購入サービスに申し込むことで、一定期間ごとに自動的に商品を購入し続けることになります。これにより、ブランドやショップといった事業者は安定的な収益が見込め、さらに生産計画や在庫管理をより効率的に行うことが可能になり、長期的な販売戦略を立てやすくなるというメリットがあります。

顧客の囲い込みをしやすい

定期購入は顧客との間で継続的な関係を築くビジネスモデルであることから、顧客データを蓄積しやすいという大きなメリットがあります。時間をかけて顧客の購入傾向や好みを理解し、それに合わせた商品開発やマーケティング施策を展開することが可能になり、長期的な顧客の囲い込みが可能となります。また、顧客からのフィードバックも定期的に得ることができるため、商品の改善や新たなニーズの発見に役立てることも期待できます。

定期購入サービスの導入はメリットが多い一方で、以下のような注意点もあります。

安定的な収益を得るまで時間がかかる

定期購入のビジネスモデルは、初期段階で大きな投資が必要となるため、すぐに利益を得ることは困難と言えます。また、顧客が定期購入を解約するリスクも常にあるため、顧客が長期間定期購入を続けることで、初めて定期的かつ安定した収益を得ることができます。

商材によっては解約を招きやすい

日々消費するような商材であれば問題ありませんが、利用頻度が低い商品の場合は、届いた商品を使う前に次の商品が届いてしまい、顧客の手元に溜まる一方となる可能性も。それが契約の継続率低下を招き、解約につながりやすい点には注意が必要です。

「EC-CUBE」には定期購入の仕組みは実装されていませんが、プラグインを使うことで容易にカスタマイズできるところが最大の魅力です。定期購入を実現するためのツールとして代表的なのが、『EC-CUBEペイメント定期購入プラグイン』。
このプラグインを使用することで、定期購入サービスを申し込んだ顧客に対して、自動的に商品を配送することが可能となります。また、購入商品や配送間隔を自由に設定することができるため、顧客のニーズに柔軟に対応することができます。

EC-CUBEで定期購入を実現するための具体的手順

「EC-CUBE」で定期購入サービスを導入するには、「EC-CUBE」開発元が提供する「EC-CUBEペイメント定期購入プラグイン」を使用します。

「EC-CUBE」の開発元が提供するEC-CUBE連携モジュールで、豊富な機能をそろえています。無料でダウンロードでき、「EC-CUBE」の管理画面から継続課金の処理を行うことが可能になります。なお「EC-CUBEペイメント定期購入プラグイン」を利用するには、次の条件を満たす必要があります。

①EC-CUBEペイメントと別途契約

「EC-CUBEペイメント定期購入プラグイン」の利用を開始する際は、EC-CUBEペイメントとの別途契約が必要になります。その際には初期費用、月額費用が発生します。

②EC-CUBEペイメント決済プラグイン(4.2系)をインストールしておく

4系のプラグインについては、EC-CUBE管理画面にて認証キーを設定し、インストールを行う方法が推奨されています。以下の方法を参考にインストールを行ってください。

-1.EC-CUBEの管理画面にログインし、オーナーズストア>認証キー設定をクリック
‐2.認証キー設定のテキストボックスに、あらかじめ用意した認証キーを入力し、「登録」ボタンをクリック
-3.オーナーズストア>プラグイン>プラグイン一覧を表示し、購入したプラグインの「インストール」をクリック
‐4.案内に従いインストールを実行

※プラグインの設定方法についてはマニュアルも用意されているので、そちらもご確認ください。
EC-CUBE 4系向けマニュアル(PDF)

③PGマルチペイメントサービスのSTANDARDプランもしくはADVANCEDプランを契約する

GMOペイメントゲートウェイが提供するPGマルチペイメントサービスには、定期購入などの継続課金に対応する機能があります。「クレジットカード決済」「口座振替サービス」「キャリア決済」に対応。
申込みから最短約2週間で利用が可能です。

④SFTPサーバを契約する

SFTPサーバーとは、SSH(Secure Shell)を利用してファイルの送受信を行うためのサーバーです。SSHで暗号化された通信路を利用してファイルを転送するため、通信内容の盗聴や改ざん、なりすましなどのセキュリティリスクを低減できます。

「EC-CUBEペイメント定期購入プラグイン」以外にも、以下のような定期購入サービス促進に使えるプラグインがありますので、あわせてご検討ください。

レビュー投稿ポイント付与プラグイン

「EC-CUBE」で顧客が商品レビューを投稿した際にポイントを付与する機能を持ったプラグインです。顧客が商品に対するフィードバックを積極的に行うことで、商品やサービスに対する信頼度が向上し、
新たな定期購入の契約の呼び水となることが期待できます。

キャンセル在庫自動戻しプラグイン

定期購入のキャンセルが生じた際、その商品の在庫を手動で戻す作業は非常に手間がかかります。そこで利用いただきたいのがこちらのプラグインです。顧客が定期購入をキャンセルした際、その商品の在庫を自動的に戻す機能を有しており、在庫管理の手間を大幅に削減することが可能となります。また、在庫の確認や補充作業漏れといったリスクも軽減することが出来ます。

リピーターを増やすための定期購入戦略と事例紹介

定期購入サービスで成功するためには、自社ブランドや商品に対して愛着や信頼を感じている顧客(ロイヤルカスタマー)の存在が必要不可欠です。

ロイヤルカスタマーを増やすには、顧客の信頼(ロイヤルティ)を獲得していくことが重要です。顧客ロイヤルティを獲得するために、以下のような個々の顧客に適したサービスや、継続的な価値を提供し続けましょう。

パーソナライズされた体験の提供

顧客一人ひとりに合わせた体験の提供は、ロイヤルティを高める上で非常に重要です。パーソナライズされた体験を提供されることで、顧客は自分が「特別である」と感じ、ブランドやショップへの愛着を深めます。たとえば、過去の購買履歴、ブラウジング行動などをベースに、パーソナライズされたメールなどを使い、お客様が興味を示すと考えられるアイテムの新製品を紹介することで、定期購入の可能性を高めることができます。

定期的かつ特別なコミュニケーション

定期的で効果的なコミュニケーションは、顧客ロイヤルティを築く上で欠かせません。ニュースレター、ソーシャルメディア、パーソナライズされたメッセージを通じて、新製品の発表、限定オファー、お客様の成功体験をフィーチャーしたストーリーなどを共有することが効果的です。これらのコミュニケーション手法は、お客様がブランドとつながっていると感じるための重要な要素となります。

ロイヤルティプログラムと報酬

ロイヤルティプログラムと報酬は、顧客との継続的な関係を維持するための効果的な方法です。こうしたプログラムを通じて特別な報酬や体験を提供することで、お客様に感謝の意を示すことができます。ポイントシステム、特別割引、限定オファーなどを通じて、定期購入やブランド推奨行動を促進しましょう。

以下では、さまざまな施策により定期購入ビジネスを成功させている事例をご紹介します。

株式会社ファンケル

株式会社ファンケル

ファンケルでは、メンバー特典としてポイント制度を設けており、年度ごとの累計購入金額によりステージがアップしてお得になる仕組みで、定期購入者の継続につなげております。ECモールなどにも出店していますが、外部のECモールなどでの購入にはポイントを適用しないことが、自社ECサイトへの誘導にもなっております。

株式会社バルクオム

株式会社バルクオム

メンズスキンケアのメーカー「BULK HOMME(バルクオム)」では、定期コースユーザーに購入金額の10%を「マイレージ」として付与し、獲得したマイレージに応じて、限定アイテムと交換できる「マイレージプログラム」サービスを提供。定期販売には向かないとされてきた男性化粧品業界でのレアな成功事例の一つとなっています。

株式会社SEETHELIGHT

株式会社SEETHELIGHT

「スタイルアップ便」は、服を買いに行く手間やコーデに悩む時間が無いというユーザーをターゲットに、毎月1回キレイめコーディネートを届けるサービスです。プロのスタイリスト監修のコディネートでおしゃれに着こなせる上に、単品ではなくセットをお得価格で購入できるためコスパが良いのが特徴。

お届けアイテムは事前に確認可能。「自分好みではない」「毎月届くのはちょっと多い」と感じたら、スキップもできます。しかもスキップ回数は無制限。解約時の違約金等もないので、安心して申し込めます。

定期購入モデルを成功させるための運用ポイントと注意点

定期購入サービスにおいては、新規顧客を獲得するよりも既存顧客の解約率を下げる方が利益を確保しやすいと言われています。しかし、違約金や解約しづらい仕組みなどで解約率を下げようとすると、サービスやブランドのイメージダウンにもつながりかねません。不信感を与えることなく解約率を下げるために、顧客のニーズに応え、関係性の維持に努めるサービス運用を心がけましょう。以下では、解約を防止するための具体的な施策について解説いたします。

潜在的な解約を予測する

解約防止の施策を効率的に行うためには、予測機械学習(ML)モデルを使って解約率の高い顧客を検出するという方法があります。予測機械学習モデルとは、顧客のサービス利用状況などをもとに、解約リスクの高い顧客を予測することができるシステムです。

解約リスクの高い顧客を検出できたら、積極的にコミュニケーションを図り、顧客が抱えている疑問や不満を解消していくことで解約を防ぐことが可能になります。

「サービスの利用休止」を提供する

定期購入サービスの解約を検討されている利用者の中には、たとえば「すでに届いた商品が余っている」「長期間留守にする」などの、やむを得ない事情を抱えている方が存在する可能性もあります。

そのような利用者のために「サービスの利用休止」を提供できるようにしておけば、解約を防ぐことができます。解約ではないので、事業者側にとっても一度獲得した顧客を確保し続けられるというメリットも。サービスの利用休止を提供する際は、簡単に利用再開の手続きができるようにしておくこともお忘れなく。

複数のプランを選べるようにする

プランを複数用意しておけば「サービスを使い切れない」「費用が高いからもったいない」と解約を検討している利用者に対し、ダウンセルを提案することが可能となります。ダウンセルとは、現在利用しているプランよりもステージを下げて、安いプランを利用できることを意味します。顧客が安いプランに変更すれば売上は落ちてしまいますが、解約を防ぐことができますし、再び元のプランに戻ることも期待できます。

使用していない特典やサービスを伝える

定期購入サービスを契約していても、利用者はすべての特典やサービスを使いこなしているとは限りません。事前に使用していない便利な特典やサービスなどを紹介することで、解約防止効果が期待できます。

家族やカップルで利用できるようにする

カップルや家族、親子などで定期購入サービスを利用している場合は、一人が解約を希望したとしても、他の利用者が継続を希望すれば解約を抑止できます。「カップルプラン」や「ファミリープラン」などを用意することも、定期購入サービスの解約防止策になります。

特典の失効を伝える

たとえばポイントを付与するタイプのサービスであれば、解約するとポイントが利用できなくなることを説明したり、逆に使い続ければ特典を受け取れることを伝えることで、解約を先延ばししたり、解約ではなく休止に誘導することも可能です。

サービスや商品の予告をする

定期購入サービスで今後提供するサービスや商品を案内する方法も、解約防止に有効です。「来週からはこのようなサービスを提供します、「来月に配送される商品は○○です」などと情報を伝えることで、顧客にもう少し続けようと思わせることができます。

付加価値を提供できるパートナーとコラボをする

付加価値を提供できる別のブランドなどと協業することは、話題になるだけでなく、顧客に新しい体験を提供することを可能にします。これにより、解約を防ぐことが期待できます。

定期購入サービスの解約を防止するためには、常に利用者とコミュニケーションをとり、顧客の意向を汲み取りながら、継続的に優れた体験を提供しなければなりません。継続利用をしたくなるサービスを提供できれば、顧客がファン化し、SNSで拡散されることが期待できますので、積極的にチャレンジしてみましょう。

【まとめ】EC-CUBEで定期購入(サブスクリプション)を始める方法

定期購入は、化粧品・飲食品・日用品・書籍などの消耗品や、季節に応じた商品などを取り扱うブランドやショップに適したビジネスモデルと言えます。「安定的な収益が見込める」「顧客を囲い込みやすい」などのメリットから、多くの企業が導入に踏み切っています。

ただし、利用者に対する継続的なサポートや、解約防止策の実施はサービス維持や利益獲得のために絶対に欠かせません。また「EC-CUBE」は設定やカスタマイズには時間がかかり、専門的な知識が必要になる場合があります。

さらにオープンソースのシステムであるため、サポート体制が不十分な場合があります。こうしたことから「EC-CUBE」を活用した定期購入サービスを成功させるためには、開発力と運用実績に優れたパートナー選びが重要となります。

ルビー・グループには、「EC-CUBE」を活用して多くのオンラインストアを制作・運営してきた実績があります。柔軟なカスタマイズだけでなく、ストアオープン後の運用においても安定的にサポートをさせていただくことが可能です。「EC-CUBE」を利用したオンラインストアの構築や、定期購入サービスの導入・運用をご検討されている場合は、ぜひご相談ください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
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