ECサイトの構築にかかる費用は、何をするかによって変わってきます。そのため見積もりを取る際も、細かく要件定義する必要がございます。理想のECサイトを立ち上げる上でも、自身の目的や課題を明確にし、予算や発注する会社を検討しましょう。
本記事では、ECサイト構築にかかる費用の相場や知っておくべき注意点について詳しく解説していきます。
ECサイト構築の費用と相場
ECサイトの構築費用は、サイトの規模、機能、デザイン、プラットフォームなど、さまざまな要素によって大きく変わります。小規模のECサイトであれば、10万円~100万円程度で構築が可能ですが、中規模ECサイトの場合は、機能やデザイン、セキュリティ面などで工数が増えるため100万円~1,000万円程度かかります。
また、大規模ECサイトを構築する場合は500万円~数千万円程度になる事もございます。金額はあくまで一般的な目安であり、詳細な見積もりは具体的な要件に基づいて行われます。構築費用以外にも、維持・運用費用(サーバー費用、ドメイン費用、SSL証明書費用、システムのアップデートや保守費用など) が必要であることを考慮に入れてください。
ECサイトの6つの構築方法
ECサイトを構築するための方法は、業務の要件、予算、技術的スキルによって変わります。
以下に一般的な6つの方法を紹介します。
ECモール
ECモールを利用してECサイトを構築するというのは、販売業者が自社の商品をオンライン上で広く販売するための一つの手段です。ある種のマーケットプレースに自分の店舗を開設することになります。
主なECモールとしては、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、メルカリ、フリマアプリなどがあります。どのモールを選択するかは、販売する商品の種類、ターゲットの顧客層、手数料体系等によります。
メリット
ECモールは自社で集客を行うための手間を省きつつ、大規模な顧客基盤を享受できるメリットがあります。自社での集客活動を行わずとも、ECモールに既に存在する顧客への露出が可能となります。
ECモールは基本的なショッピングカート機能や決済手段などが用意されており、店舗オーナーは商品の登録や管理に集中できるため、手軽に始めることが可能です。また、専門的な技術知識を必要とせず、比較的容易に店舗を開設できます。
既知のECモールを利用することで、顧客からの信頼を得られる可能性が高まります。既にユーザーが利用しているプラットフォーム内での販売となるため、新規でサイトを訪れる際の心理的なハードルを下げることができます。
デメリット
ECモールは一定の手数料を取ることが一般的です。販売額のパーセンテージか、一定の基本利用料、もしくは両方の組み合わせとなります。また、ECモール内では同じプラットフォーム上の他の出品者と競合することになります。商品の価格、品質、配送オプション等で競争しなければいけません。
オープンソース
オープンソースソフトウェアを使ってECサイトを構築するというのは一つの手段です。
オープンソースソフトウェアはコードが公開されており、自由にカスタマイズや改良が可能です。
オープンソースのECサイト構築ソフトウェアとしては、EC-CUBE、WordPressのWooCommerce、Magentoなどがあります。それぞれに特性と機能があり、どれを選ぶべきかはビジネスの要件によります。
メリット
オープンソースソフトウェアを最大限に活用するためには、ある程度の技術的スキルが必要です。自社で開発スキルを持っていない場合、外部の開発者に依頼する必要があります。また、オープンソースソフトウェアは自分自身またはチームで維持管理する必要があり、セキュリティのアップデート、新機能の追加、バグ修正などが含まれます。オープンソースソフトウェアは通常、製品のサポートが限定的か、まったく提供されていないことがあります。問題が発生した場合、自己解決するか、コミュニティから助けを得ることになります。
パッケージ
パッケージソフトウェアを利用してECサイトを構築する方法は、特に小規模から中規模のビジネスにとって、リソースと時間を節約する上で効果的な手段となります。パッケージソフトウェアは、一般的には事前に設計された機能を備えているため、導入が容易で、早期に運用を開始することが可能です。
主なパッケージ型ECサイト構築ソフトウェアとしては、Saleforce commerce cloud、ecbeingなどがあります。それぞれには特性と機能があり、どれを選ぶべきかはビジネスの要件によります。
メリット
パッケージソフトウェアは、基本的なECサイトの機能をすぐに利用できるように設計されており、導入が容易です。また、オープンソースソフトウェアに比べて、パッケージソフトウェアは、 追加のカスタマイズや開発の必要性が少ないため、コストを抑えることが可能です。パッケージソフトウェアのベンダーは、多くの場合、 定期的なソフトウェアアップデートや問題解決のためのサポートを提供してくれます。
デメリット
パッケージソフトウェアは、一般的なビジネスモデルを想定して作られているため、 独自のビジネスモデルや特定のニーズに合わせてカスタマイズするのは難しい場合があります。また、パッケージソフトウェアには、ライセンス料金や月額使用料が発生することがあります。
ASP(Application Service Provider)
ASPはソフトウェアアプリケーションをインターネットを通じて提供するサービスで、クライアントはソフトウェアをインストールすることなく、アプリケーションを利用することができます。
主なASP型ECサイト構築サービスとしては、Shopify、MakeShopなどがあり、ユーザーフレンドリーで、初心者でも簡単にECサイトを立ち上げることができます。また、サービスは拡張機能やアプリを提供しており、機能を追加してビジネスを拡大することも可能です。
メリット
ASPサービスは多くの場合、月額または年額の使用料を支払うことで利用することができます。大きな初期投資を必要とせず、低コストでECサイトを始めることが可能です。また、ASPはウェブベースであり、ユーザーはブラウザからアクセスできるため、 専門的な技術知識がなくても、簡単にセットアップと管理が可能です。プロバイダーがメンテナンスとアップデートを行うため、 ユーザーは最新の機能とセキュリティアップデートを常に利用可能です。
デメリット
ASPサービスは一般的にはカスタマイズが制限されており、自社の特定の要求に合わせてサービスを調整することが難しい場合があります。また、ASPサービスはインターネット接続に依存しており、接続が不安定な場合、サービスへのアクセスに影響が出る可能性があります。
フルスクラッチ
フルスクラッチでのECサイト構築とは、既存のソフトウェアやパッケージを使用せずに、完全に新規に開発することを指します。
フルスクラッチでのECサイト構築は、特定のニーズや要求を持つ大規模な企業や、特別なビジネスモデルを持つ企業にとっては良い選択肢となるかもしれません。しかし、開発の難易度と維持の労力を考慮すると、中小企業やスタートアップにとっては他の方法(例えば、パッケージソフトウェアやASP)が適しているかもしれません。
メリット
フルスクラッチ開発の最大の利点は、ECサイトを自社の具体的な要求に完全に合わせて設計できることです。自社のビジネスモデルや顧客のニーズに最適なUI/UXを実現することが可能です。 他の企業が使用するパッケージ製品とは異なり、自社だけの独自のECサイトを持つことで、競争優位性を持つことが可能です。
デメリット
フルスクラッチ開発は時間と費用がかかります。プロジェクトの規模にもよりますが、開発には数ヶ月から数年かかることもあります。また、開発者の給料や他のリソースに対する投資も必要です。フルスクラッチ開発のECサイトは、自分自身または自社のチームで維持管理する必要があり、セキュリティのアップデート、新機能の追加、バグ修正などが含まれます。
ECサイトの構築でかかる費用の注意点
ECサイトの構築には多くの要素が関わるため、予算を設定し、費用を計画する際には以下のような点に注意することが重要です。
開発費用
ECサイトの開発には多大な費用がかかることがあります。サイトの規模や複雑さ、開発の方法(自社開発、外部開発、パッケージソフトウェアの使用等)によりますが、十分に予算を考慮することが重要です。
メンテナンス費用
サイトの運営には継続的なメンテナンスが必要で費用が発生します。例えば、サーバーの費用、ソフトウェアのアップデートとバグ修正、セキュリティの強化などが含まれます。
拡張機能やカスタマイゼーションの費用
追加の機能を追加したり、特定のビジネスニーズに合わせてカスタマイズしたりするための費用も考慮する必要があります。
マーケティング費用
ECサイトを成功させるためには、適切なマーケティング戦略とその実行に必要な費用を計画することが重要です。SEO対策、SEM、SNSマーケティング、メールマーケティングなどの費用を含みます。運営費用:在庫管理、配送、顧客サポートなどの日々の運営に関連する費用も考慮に入れる必要があります。
ECサイト構築の際に利用できる補助金制度
ECサイト構築に関連する補助金制度は主に3つあり、中小企業やスタートアップを支援するために、デジタル化やオンラインビジネスへの移行を助ける補助金や助成金を提供しています。
IT導入補助金
日本の経済産業省が提供している「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者がITツールを導入するための費用を補助する制度です。IT導入補助金制度は、ITツールを導入することで生産性向上を図る企業を支援しています。具体的には、経営課題解決に資するITツールを導入し、導入費用の一部を国が補助します。
補助上限は450万円(導入費用の1/2~3/4)で、ITツールの導入費用の一部が補助されることになっています。IT導入補助金制度を利用するには、あらかじめ経済産業省が定めたITツールを使用し、導入計画を申請書にまとめて提出する必要があります。 また、補助金を受け取るためには、ITツールの導入後、効果を報告する必要があります。
参照:IT導入補助金2023
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」は、日本の経済産業省が提供する補助金制度で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて事業環境が大きく変化した中小企業や小規模事業者が、変化に対応し事業の再構築を行うための支援を行っています。
具体的には、新たなビジネスモデルの開発や既存のビジネスモデルの改革、デジタル化など、企業が事業を再構築するための費用の一部を補助します。
事業再構築補助金を利用するためには、あらかじめ経済産業省が設定した基準に従った事業再構築計画を作成し、申請書とともに提出する必要があります。また、補助金を受け取るためには、再構築計画の実行後に成果を報告する必要があります。
参照:事業再構築補助金
小規模事業者持続化補助金
「小規模事業者持続化補助金」は日本の中小企業庁が提供する補助金制度で、小規模事業者が自社の業務を改善・拡大するための経費を補助します。
小規模事業者持続化補助金の目的は、小規模事業者の経営基盤の強化と事業の持続可能性の確保を支援することです。具体的には、事業計画に基づいて必要な経費(設備投資費、運転資金等)の一部を補助します。
小規模事業者持続化補助金を利用するには、あらかじめ中小企業庁が定めた基準に従った事業計画を作成し、申請書とともに提出する必要があります。また、補助金を受け取るためには、計画の実行後に成果を報告する必要があります。
参照:小規模事業者持続化補助金
売上別おすすめECサイト構築方法
ECサイト構築方法は、予算、専門知識、時間、製品の種類、ビジネスの規模や成長予測など、様々な要素によって変わります。 それぞれのビジネスに最適な方法は異なるので、一概には言えませんが、以下に売上別のおすすめECサイト構築方法を挙げてみます。
小規模事業者・低売上(月売上数百万円未満)
ECサイトの売上が月売上数百万円未満の方は、Amazon、Rakuten、Yahoo!ショッピングなどのECモールを利用するのが一番手軽です。初期費用や運用費用が比較的低く抑えられますし、既に大量のユーザーがいるので露出も比較的簡単です。ShopifyやBASEなどのレンタルECサイトも初期投資が少なく、ショッピングサイトの運営が容易です。
中規模事業者・中売上(月売上数百万円~数千万円)
ECサイトの売上が月売上数百万円~数千万円の方は、Shopify PlusやMagentoなどのパッケージ型ECサイトがおすすめです。より高度なカスタマイズや機能追加が可能で、企業のブランドイメージを反映させやすいです。EC-CUBEやWordPress(WooCommerce)などのオープンソースソフトウェアを使うと、更に詳細なカスタマイズが可能ですが、それなりの技術知識が必要となります。
大規模事業者・高売上(月売上数千万円以上)
ECサイトの売上が月売上数千万円以上の方は、EC-CUBEやWordPress(WooCommerce)などのオープンソースソフトウェアを使うとおすすめです。詳細なカスタマイズが可能になります。完全にオリジナルのECサイトを作りたい場合は、フルスクラッチでの開発が考えられます。しかし、費用と時間がかかりますし、専門的な技術知識も必要になります。
まとめ
いかがでしたか?本記事では、ECサイト構築にかかる費用の相場や知っておくべき注意点についてお伝えしました。構築方法にも大きく6つの種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
自身のECサイトの目的や課題、売上規模に応じて、構築方法は異なります。構築に対して本記事で得た知識を元に見積もりを取る事で、制作会社とのコミュニケーションもスムーズになる事でしょう。
ルビー・グループではECサイトの構築も行っており、数多くの実績がございます。お困りの際は、ぜひご相談下さい。
この記事を書いた人
ルビー・グループ コーポレートサイトチーム
各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
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