アパレルECにCRMは必須?売上アップにつながる活用法とツール比較

2025.06.27

2025.06.27

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アパレルECにCRMは必須?売上アップにつながる活用法とツール比較のメインビジュアル
他の業界と比べ、顧客ニーズが多様であり、トレンドが変化しやすいという特性があるアパレル業界。CRMを活用することで、これらの変化に対応し、顧客との関係性を強化することで、ビジネスの成長を促進することができると言えます。

本記事では、アパレルに向いたCRMの選定基準と導入の注意点などについて解説しています。

「アパレル業界でCRMを活用している企業の成功事例が知りたい」「どのCRMツールがアパレルに向いているのかを比較したい」という方はもちろん、「CRMを活用してパーソナライズ配信を強化する方法を探っている」「在庫処分やシーズンオフ商品を効率よく売るための仕組みを構築したい」という方も、是非ご一読いただければと思います。

アパレルECが抱える課題とCRMで解決できること

アパレルECが抱える課題とCRMで解決できること

CRM(Customer Relationship Management)は、収集した顧客情報を分析し、効果的な顧客へのアプローチを実施することで、自社の商品やサービスの競争力を高める経営手法を指します。「顧客管理」や「顧客関係管理」とも呼ばれます。

ここでは、そのCRMを導入することで、どのような課題や問題が解決できるのかを解説します。

消費者が必要に迫られて買う生活必需品などと比べ、アクセサリーやバッグなどのアパレル商材は、消費者の「買いたい」「欲しい」という購買意欲を刺激し、買いたくなる理由を創出しない限り、売上につながらないケースが多いのが特徴です。

またアパレル商材は、毎シーズン入れ替わるという特徴があるため、一つの商品に対するリピートを獲得できないケースがほとんどです。

さらに、機会損失を防ぐためにシーズン中の在庫を充実させなければいけない一方で、商品のラインナップが頻繁に更新されるため、シーズンやトレンドが変わる前に商品を売り切り、在庫リスクを低減する必要があります。

こうしたアパレル特有の課題を解決するために、CRMツールにより、顧客の購買履歴や行動を通じて変化するファッション嗜好を予測し、最適な商品や情報をタイムリーに届けることで、顧客の購入意欲を刺激し、顧客をブランドやショップのファン化する必要があるわけです。

アパレルの場合、CRMツールを使って以下のような幅広い情報を取得、一元管理できます。

・顧客の洋服の好み
・店舗への来店回数
・累計の購入金額
・ECサイト上での閲覧履歴
・店舗の従業員とのやり取り

これらのデータを活用して販促を行うことで、顧客のファン化によりリピート購入が期待できます。

また、顧客の趣味嗜好を把握することで、ターゲティングを効率的に行えるようになり、CRMツールを使って、どのチャネルやメディアを使ってアプローチするのが最適かを把握することで、効果的な広告戦略を実施できるようになり、集客施策にかかるコストが削減できるといったメリットも生まれます。

CRMツールを活用することで、顧客情報の管理や共有が実施できるメリットも見逃せません。

アパレル業界では、接客スタッフに顧客との関係性構築を依存したりと、顧客情報の管理を現場に任せているケースが多いです。そのため、接客スタッフが辞めた際に顧客情報が失われやすいといった問題が多々発生します。

CRMツールを活用すれば、顧客情報を会社で一元管理でき、商品開発から販売、アフターフォローまで一貫して行うことが可能に。接客スタッフが変わってしまう場合でも、顧客情報に関する引継ぎが最低限で済むため、共有を効率的に行うことができる点もメリットです。

アパレル業界に強いCRMツールとその特長

それではここで、アパレル業界で多くの実績をもつCRMツールについてご紹介しましょう。

【KARTE】〜パーソナライズ接客に強み/アパレル導入事例多数〜

KARTE

株式会社プレイドが提供する、BtoC向けのCX(顧客体験)プラットフォーム。Web接客を通して顧客体験を向上することに特化しており、Web接客から分析・制作までのCRMを一気通貫で行うことができます。

純国産ツールであり、直感的に利用が可能。ポップアップやプッシュ通知など、さまざまなテンプレートが用意されており、基本的にノーコードで操作ができるため、専門知識がない方でも利用することができます。

アパレルに特化した施策例があらかじめセットされているため、デザイナーやエンジニアに作業を依頼することなくWebサイトへ公開が可能。また、アパレル業界専門のカスタマーサクセス担当を有するため、安心して導入できます。

機能ごとにパッケージ化されているのも「KARTE」の特徴です。目的や課題に応じて以下のようなパッケージを選択することができます。

「KARTE Web」(Web接客)

これまで高い成果のあったシナリオがテンプレートとして実装され、コーディングなしで素早く反映できます。課題発見に欠かせない分析機能と施策実施機能の両方を実装しているため、PDCAサイクルをスムーズに回すことができます。

「KARTE Message」(顧客体験向上)

顧客ごとにパーソナライズしたメッセージを、適切なタイミングで配信できるマーケティングオートメーション・ツール。メールやLINEなどのメッセージを一元管理でき、配信リストを直感的な操作で作成・管理できるため、複雑なコード記述は必要ありません。社内や外部サービスと柔軟に連携できます。

「KARTE App」(モバイルアプリの分析・施策実行)

モバイルアプリの顧客分析や施策実行をワンストップで実施し、エンゲージメントの向上をサポートする、モバイルアプリのマーケティングに適した機能が備わったツール。

「KARTE Signals」(広告配信最適化)

自社で収集した顧客情報(氏名、連絡先、購買履歴など)を活用して、広告配信の最適化を図るツール。クッキー規制によるターゲティング精度の低下や、コンバージョンデータの欠損といった課題に対応し、広告運用の効果を向上させることができます。

「KARTE Datahub」(データ統合・活用)

KARTEと外部サービスを連携してさまざまなデータを統合し、活用を推進するプラットフォーム。SalesforceなどのCRMと連携すれば、顧客データを横断的に管理できるため、より効率的に活用できます。100種類以上のテンプレートが用意されているので、データベースの知識がない方でも、容易にデータを活用できます。

「KARTE」の導入により、顧客にパーソナライズな体験を提供できるだけでなく、マーケティング効果の最大化、業務効率化の実現とデータに基づいた意思決定を可能にします。

※導入コストや事例などの詳細については、公式サイト(https://karte.io/)で確認できます。

【HubSpot】〜中小規模にも対応可能で拡張性が高い〜

HubSpot

マーケティング、営業、カスタマーサービス、コンテンツ管理、オペレーションの5つのHub(製品)で構成された、企業の顧客対応に関わる業務を統合的に支援するクラウドベースのプラットフォーム。

CRMツールを基盤に、様々なツールを組み合わせて利用できるため、SEO対策、コンテンツマーケティング、メールマーケティング、ランディングページ作成など、各種マーケティング施策の推進や、顧客体験の向上を効率的に図ることができます。

「HubSpot」を導入することで得られるメリットには、以下のようなものがあります。

>無料プランからスタート可能
最大の特徴は、基本的な機能を完全無料で利用できる点にあります。さらにクラウド型システムのため、セキュリティソフトのアップデートなどのメンテナンスにかかるコストが不要な点もメリットです。

>操作が容易で導入障壁が低い
英語がベースになっていますが、直感的な操作が可能で、すぐに導入できる点も特徴の一つと言えるでしょう。万が一、利用方法や設定方法について不明点があっても、日本での導入実績も豊富なため、先行利用者が操作についてのマニュアルなどをブログ等で公開しており、容易に問題を解決できるという利点も。

>効率的なマーケティングや営業施策を実施できる
メールマガジンの開封率から自社に関心度の高い顧客をスコアリングし、優先的に営業をかけるなどの施策が可能に。

>顧客とのコミュニケーションの質が向上
顧客からの問い合わせ管理を一元化し、全社で情報共有が可能に。顧客対応の漏れがなくなり、適切なタイミングでフォローを行うことが可能です。

>複数チャネルの情報を一元管理できる
Webサイトや広告、LINEやSNSなどの情報を1つのプラットフォームで管理できるため、情報のバラツキの心配が不要になります。

HubSpotは無料から利用できますので、「まず効果を試したい」という事業者におすすめです。※有料版に関する情報などは公式サイト(https://www.hubspot.jp/)を参照ください。

CRMで実現するパーソナライズ施策と販促事例

CRMのパーソナライゼーション機能を利用すれば、顧客の好みに合った商品提案や、カスタムメッセージを送ることができるなど、顧客の一人ひとりに最適なサービスをすることが可能になります。

ここでは、CRMを活用した具体的なパーソナライズ施策と、効果的な販促事例についてご紹介します。

スタイリング・おすすめ商品の提案

顧客の過去の購入履歴や問い合わせ履歴などから、顧客の好みを分析し、ECサイト上で一人ひとりにあった「おすすめ商品」を自動で表示することが可能になります。

また、ジャケットを頻繁に購入する顧客に対し、そのジャケットに合うシューズやバッグを提案したり、顧客がTシャツに強い興味を示しているようであれば、サイズ別やカラーバリエーション別の着こなしを提案するなど、顧客の嗜好や個性などを意識したスタイリング提案の自動化も可能になります。

各種メール配信

①シナリオ配信(ステップメールなど)
会員顧客に送信するメールマガジンや、あらかじめ設定しておいたメールを自動で送るステップメール、顧客のアクションをきっかけに設定済みのメールを配信するシナリオ配信など、メールを利用して顧客に購入を促すことが可能です。

たとえば、はじめて商品を購入した顧客に対し、クロスセルにつながるメールなどを配信することで、リピート化や売上拡大につなげられます。

②カゴ落ち配信
カートに商品を入れたままになっている「カゴ落ち」状態の顧客にリマインドメールを送ったり、顧客の属性や購買・行動履歴に合わせたおすすめ商品を通知するレコメンドメールを送ったりすることで、カゴ落ちを防ぐ可能性が高まります。

③誕生日配信
誕生日や誕生月の月初に顧客にメッセージやクーポンを配信することで、ECサイトへの再訪問を促進できます。顧客の誕生日に関する情報をCRMツールに記録し、どのような内容のメッセージを配信するかあらかじめ設定しておきましょう。

④イベント配信
お気に入りに登録した商品の在庫が僅かになったり、値引きされたことを顧客に知らせることで、購入を後押しできます。また、会員限定のシークレットセールをメールで知らせれば、会員であるメリットを提供することも可能です。

⑤休眠顧客向け配信
初回購入から一定期間空いている顧客に対してフォローメールを送信。再度アプローチすることで、購入を促す効果があります。

休眠顧客に配信するメールの内容は、初回購入した商品をリマインドしたり、人気・売上ランキング商品をお知らせしたりすると、ECサイトの存在を思い出させたり消費意欲を喚起することができます。また、特別限定クーポンを配布して再購入につなげるのも効果的です。

SNS連携

アパレル業界は、SNSを利用したマーケティングとの相性もよく、CRM施策と組み合わせることで、より効果を高めることができます。

たとえば、InstagramやXなどの公式SNSアカウントを活用したクーポンの配信や、アプリ利用者向けの限定キャンペーンなど、新商品やセールなど即時性が求められる施策に適しています。

アパレルCRM導入前に考えるべき3つのポイント

ここでは、アパレルEC事業にCRMを導入する際に注意すべきポイントや、事前に知っておくべきツール選択ポイントについてご紹介します。

運用可能な体制を社内で構築できる?

CRMは、顧客の趣味嗜好・過去の購入履歴・来店履歴などを分析し、個別のニーズを把握することから始まり、一人ひとりに最適な情報をメールやDMで配信したり、店舗での接客で個別の提案を行うことが必要です。さらに、各種施策の効果を測定し、改善を繰り返すことも重要になります。

これらの一連のタスクを、誰がどういったルールで手がけるのかを事前に決めるなど、CRMを運用できる体制が社内に構築できるかを事前に確認しましょう。

顧客データ管理活用のルールや方針を明確にする

CRMを運用するためには、顧客データの収集方法・保存期間・アクセス権限・プライバシー保護のためのガイドラインなどを含んだルールを明確化する必要があります。また、データをいかにして分析し、ビジネス戦略に活用するかの方針を事前に立てることも重要です。

ツールの初期導入コストと維持費を確認する

CRMツールの導入には、ソフトウェアの購入やカスタマイズ費用、システム統合のための初期コストが必要です。さらに、運用費用やアップグレード費用も含めた総コストを考慮することが不可欠になります。

特に中小企業にとっては、これらのコストが負担となり、導入を躊躇させる要因となるケースもあります。CRMツールの導入を検討する際は、長期的な予算計画と企業の財務状況に合わせて選択することが重要です。

自社販売チャネルと連携可能なツールを選定する

CRMシステムが、既存のツールやソフトウェアとスムーズに統合できるかどうかは、日常業務のシームレスな運用に不可欠です。カートシステムや受注システムなど、すでに導入しているシステムと、CRMツールが連携できるかを確認しましょう。連携できれば、カートシステムなどから顧客データを自動送信できます。

また、顧客体験の一貫性を確保するためには、:ECサイトと店舗の情報を統合することが絶対条件になります。実店舗がある場合は、POSシステムと連携できるCRMツールを選びましょう。

メール配信がしやすいツールを選ぶ

たとえCRMツールに豊富な機能が搭載されていても、利用する側が使いこなせなければ費用対効果に見合わなくなります。

アパレル通販ではメール施策が重要になるので、メール配信がしやすいものを選びましょう。通数制限がなく、効果が期待できるシナリオテンプレートを用意しているものがおすすめです。

CRMツールによっては無料でデモを使えるものもあるので、導入前に操作性などを確かめると良いでしょう。

まとめ

アパレル業界は、ユーザーの行動の多様化といった特徴や、「在庫リスク・リピーター不足・個別提案の限界」といった特有の課題を抱えています。

顧客の属性や行動特性を把握し、購買意欲を高める販売戦略を打ち出すことができるCRMは、こうした課題や問題を解決する有力な手段と言えるでしょう。

ルビー・グループではこれまで、ラグジュアリーブランドを中心に多くのEC運営代行の実績がございます。

「エンジニア」「デザイナー」「オペレーション」スタッフを配した専任のチームを組成し、サイト構築、デザイン、マーケティング、オペレーション、ささげ、物流など各分野のプロフェッショナルが対応いたします。

また、ECサイトの売上向上を目的とした、様々なマーケティングソリューションを提供。 CRM・マーケティングオートメーション領域においても、さまざまな実績を有しています。ECサイトのCRMに関してお困りなら、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
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