ライブコマースの最新動向と成功事例|売上アップの秘訣とは?

2025.04.30

2025.04.30

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コロナ禍による巣ごもり消費を契機に、世界的に注目されている「ライブコマース」。とくに中国では、2020年末時点でライブコマースの利用者は約3億8,800人にも上り、現在も多くの人が利用していると言われています。

MMD研究所の調査によると、日本でライブコマースを利用した経験のある人は12.7%、実際に商品を購入したことがある人は5.8%にとどまっているものの、ライブコマースを認知している人のうち、23.2%が利用したいと回答しています。とくに10代から30代は利用意向が高い傾向にあるようです。
日本でライブコマースを利用した経験
実際に商品を購入したことがある人
ライブコマースを認知している人のうち、23.2%が利用したいと回答
本記事では、ライブコマースの効果的な運用方法と、導入時に注意すべきポイントについて解説しています。

「ライブコマースの成功事例や導入のポイントを知りたい」「ライブコマースは、どのプラットフォームを活用すべきかを調査している」という方はもちろん、「売上に結びつけるための具体的な運用方法や、配信時の視聴者のエンゲージメントを高める工夫について知りたい」という方も、ぜひご一読ください。

ライブコマースとは?市場拡大の背景と注目される理由

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ライブコマースとは、ライブ配信とEコマースとを組み合わせた販売手法のことで、SNSやライブコマースプラットフォーム、動画配信などのサービスを活用して行われます。

従来のテレビショッピングに近い手法ですが、大きな違いはライブ配信を見ながら消費者が質問を投げかけられる点にあります。ライブ配信サービスにはコメント機能を活用し、配信者は視聴者から寄せられた質問に対して回答することが可能。これにより、購入につながりやすくなりやすくなるという効果が期待できます。

ライブコマースが増加している背景の一つが、動画市場の盛り上がり。最近では、モバイル通信の高速化やスマートフォンの高性能化により、誰もが簡単に動画で情報を受発信できるようになりました。

インフルエンサーの台頭も見逃せません。配信者の中には、芸能人も顔負けの知名度を誇る配信者も少なくなく、ライブコマースは、そうした動画全盛時代ならではの販売方法といえます。

ライブコマースの主要なプラットフォームは、以下の3つになります。

Instagram

ライブ配信機能である「Instagram Live」を使い、集客や販売ができます。直接商品を購入できないデメリットはあるものの、商品URLをユーザーに送れるため、ライブコマースとして活用可能です。

ユーザーは、新たに配信プラットフォームをダウンロードする必要がなく、使い慣れたSNS経由で安心して購入できるメリットがあります。

TikTok

「TikTok LIVE」というライブ配信機能を利用することができ、普段の動画投稿と同じ要領で簡単にライブコマースができる手軽さが魅力です。

またTikTokは2025年6月頃に、日本で「TikTok Shop(小黄車)」機能を導入する可能性について報じられています。ライブ配信中に商品を直接購入できる仕組みで、中国では既に大きな成功を収めています。日本市場での導入が実現すれば、ライブコマース市場の活性化に大きく寄与するでしょう。

YouTube

世界最大級の動画配信プラットフォームであるYouTubeでは、機能の1つであるYouTube Liveを利用してライブコマースが可能です。

ただし、YouTube Liveには配信画面から直接商品を購入する機能がありません。視聴者が商品を購入するには、一度別のサイトに移動する手間が必要になります。視聴者がスムーズに商品を購入できるよう、リンクをわかりやすく配置したり、簡単な購入方法を案内する工夫が必要です。

上記以外にも、ライブコマースの専門プラットフォームも存在します。ユーザーは配信を見ながら簡単に購入できるなど、ECサイトとの連携や購入導線がスムーズなのが利点ですが、利用に高額な費用がかかる場合があり、また、SNSと比較すると集客が難しい点が課題です。

以下では、代表的なライブコマース専門プラットフォームをご紹介します。

HandsUP

HandsUP

ライブ配信サービス「17LIVE」を提供している、17LIVE株式会社が運営するライブコマースサービス。スターバックスや大丸松坂屋、有名なコスメブランドやアパレルブランドまでさまざまな企業で導入されている実績があります。

最大の魅力は、ライブコマースツールの提供だけでなく、新規顧客の獲得と認知層への販促に関するコンサルティングを実施している点。

17LIVEや他社配信サービスでのライブ配信のサポートも手がけていることから、ライブコマースを成功させるためのノウハウを多く有しているのが強みです。

LIVEPARK STUDIO

LIVEPARK STUDIO

テレビ局や大手EC企業のライブコマースを多く手がけてきた、株式会社LiveParkによるライブコマースプラットフォーム。デザインや機能をカスタマイズして、オリジナルのライブ配信ページが制作可能です。

視聴者のリアクションスタンプや、その場で出題や集計ができるアンケート・クイズ機能、参加者全員で協力するゲーム企画といった便利な機能によって、視聴者参加型のライブコマースが可能です。

Livekit

Livekit自社のECサイトやWebサイト内で、ライブコマースが実施できるプラットフォーム。自社ドメインで運用できるため、ライブコマースからECサイトヘのアクセス数の計測・分析が可能です。

成功するライブコマースのポイント|売上を伸ばす3つの戦略

ここでは、ライブコマースを成功させるための3つのポイントを解説します。いずれもそれほど大変なことではありませんので、ぜひ参考にしてみてください。

視聴者を引きつける配信の工夫

ライブコマースの最大の特徴は、視聴者と双方向のコミュニケーションをとりながら販売できるところにあります。視聴者から投げかけられたサイズ感や使い勝手などに関する質問や疑問にリアルタイムで答えれば、信頼感や安心感が生まれ、購入の背中を押すことができます。また視聴者の商品に対する理解が深まり、ブランドへの親近感も高まるでしょう。

ライブコマースを成功に導くためには、積極的に視聴者とコミュニケーションをとることが不可欠です。

また、台本にこだわるのも重要なポイントです。限られた時間で商品の魅力や特徴をきちんと訴求するためには、配信内容を配信者のフリートークに任せてはいけません。商品のターゲット層に好まれる構成にした台本を、あらかじめ作っておきましょう。

さらに、配信の時間帯や頻度にもこだわることも重要です。ライブコマースで成功している多くの企業は、週に1回程度のペースで、1〜3時間の配信をしています。自社のベストな配信時間帯や頻度について、トライをしながらデータをとって探っていくことが必要です。

効果的なプロモーションの実施

ライブコマースを成功させるためには、「専用のランディングページを作成する」「SNSやメールなどを使って、短期間で多くのユーザーにリーチする」といった事前告知を徹底するのはもちろん、「視聴者限定クーポンの事前配布」など、視聴者の期待感を煽る施策も重要です。

また配信者の選定ポイントは、知名度やフォロワー数などの集客力だけにとらわれないようにしましょう。

プロモーションという観点で有名なインフルエンサーにお願いすればいいと考えがちですが、たとえ集客ができたとしても、視聴者層と商品のターゲット層がマッチしていなければ、商品の購入にはつながりません。

また、配信者が商品に対する興味や知識がないと、それが視聴者に伝わってしまい、結果的にマイナスプロモーションになりがちです。商品についての理解が足りていないのであれば、実際に商品を一定の期間使用してもらったり、レクチャーをするなどしましょう。

購買につなげるための戦略立案

ライブ配信の際は、視聴者に商品購入のタイミングを知らせる機能である「カウンドダウン」を利用して、購買につなげるのもおすすめです。

また、ライブコマースとの相性が良い限定企画の実施も効果的。リアルタイムで「セールの今が買いどきです」と伝えるなど「今だけ特典」を訴求すると、視聴者は「この機会を逃すと損をする」と感じやすく、購入につながりやすくなります。さらに「視聴者限定」の取り組みは効果的で、限定感が増すことで視聴者の購買意欲の向上が期待できるでしょう。

ライブコマースならではのお得感や限定感を演出することで、視聴者の購買意欲を換気し、売上向上を果たしましょう。

<アーカイブを残すことも忘れずに>
ライブ配信をリアルタイムで視聴できない視聴者のためにも、ぜひ動画のアーカイブを残してください。後からでも視聴でき、見逃した人にも商品やサービスの魅力を伝えることができますし、「次回の配信こそは絶対にライブで見よう」と視聴意欲を喚起することが可能です。

また、SNSやECサイトにアーカイブ動画を掲載することで、新規顧客へのリーチや情報の拡散が期待できるなど、ライブ後も長期的に販売促進を図る有効な手段になります。

国内外の成功事例|ライブコマースで売上を伸ばしたブランドとは?

それでは、日本国内と、ライブコマース先進国である中国での成功事例を見ていきましょう。

日本国内での成功事例

ユニクロ

ユニクロ

「ユニクロ」が、「UNIQLO LIVE STATION」でライブコマースを始めたのは2020年12月のこと。著名人がコーディネートのポイントなどをライブで解説し、視聴者の質問などに答えながらユニクロの商品を紹介。消費者はライブ配信動画を見ながら、気になった商品をそのままECサイトやアプリ内で直接購入できるようにしました。

現在では多くの販売番組が存在し、最新コレクションを紹介するライブ配信などを定期的に実施。商品の着こなしやコーディネート提案、よりユーザーニーズに合わせた番組の配信を行い、視聴者の購買意欲を喚起しています。

ベイクルーズストア

ベイクルーズストア

アパレルブランド「ベイクルーズストア」の「ライブ スタイリング」では、スタッフがイチオシのアイテムを紹介しています。

注目すべきポイントは「5日間限定Time sale」」と訴求している点です。セールは店頭で開催され「視聴者がセール期間中に来店するよう促す」という目的で、セール初日にライブ配信を行っています。

これにより視聴者数は1回につき平均で4500〜5000人、ライブ経由の売上は配信から1週間で平均90万ほどを計上。商品点数としては平均60点ほどが販売されています。

資生堂

資生堂

「資生堂」は、中国市場において美容部員が出演するライブコマースを推進し、好調な売り上げを記録しました。

この成功を受け、日本国内でのライブコマースの本格的な展開を開始。化粧品や美容法を紹介するライブ映像を配信し、消費者がリアルタイムで美容部員とコミュニケーションしながら商品を購入できるライブコマースを開始しました。

第1弾として、2020年7月に三越伊勢丹の化粧品オンラインストア「meeco」で実施。「オフライン」と「オンライン」の強みを融合させた、オムニチャネルモデルを構築しました。

さらに美容部員が出演するライブ配信「Find Beauty Live」で、スキンケアやメイクの方法を紹介。視聴者の肌悩みに応じたアドバイスを提供し、商品の購入につなげています。

中国での成功事例

理肤泉(LaRochePosay)

「理肤泉(LaRochePosay)」は、中国の化粧品ブランドです。ライブコマースの月間売上高は1000万元を超え、抖音电商(Douyin EC)の化粧品カテゴリーでは常にトップ3に入っています。

自社の顧客層を分析したうえで、動画やコンテンツを作成し、反応があった顧客層等を再分析していき、少しでも多くの顧客がブランドに興味をもってくれるよう、様々な施策を行います。

また、ターゲット層が、ライブを見る習慣をつけさせるための様々な施策を継続的に行い、ライブコマースのファンを増やしていきました。

さらに、ターゲット層を細分化して、各ターゲット層の趣味嗜好、出演者の専門性を考慮し、さらに紹介する商品のグルーピングを行い、各ターゲット層に最も響くライブコマースができるよう、継続的に最適化を図っています。

太平鸟(PEACEBIRD)

「太平鸟(PEACEBIRD)」は、中国のファッションブランドです。2020年下半期から抖音でライブコマースを開始し、様々な施策を行った結果、1日あたりの売上高が10万元(200万円相当)から300万元(6,000万円相当)へ大幅にアップすることに成功しています。

ライブコマースをはじめた当初、視聴者が少なく、商品購入も多くはありませんでした。しかし、毎日18時間以上のライブコマースを続け、わずかな視聴者層や、どの時点が一番盛り上がったのかなどの分析を行い、ターゲティングの精度とライブコマースのクオリティを上げていきました。

また、ライブコマースの出演者のキャラクターや体型に合わせて、紹介する商品も変えるなどの施策を講じることで、徐々にファンを増やしていったのです。

さらに、ライブコマースにより短期間で特定の商品が爆売れした際に備え、事前に倉庫・物流管理とアフターサービス部隊が、しっかり連携をとれる体制を構築していたこともポイントです。

ライブコマース導入時の注意点と今後の展望

ライブコマースをスムーズに、より効果的に行うには、以下の3点に注意しましょう。

配信中の不具合

ライブ配信では、集客人数とサーバー、システムの許容量がマッチしていなければ、サーバーダウンや不具合が起こる可能性があります。さらに、通信回線やマイク、カメラなど機材のアクシデントによって配信が中断するなど、配信にはトラブルが付きものです。

これらのトラブルを防ぐために、有線LANを使う、スペックの高いパソコンを使う、テスト配信を必ず行うなど、事前にきちんと準備をしましょう。また、万が一トラブルが起こったときのために、代替機材を用意しておくこともおすすめします。

配信者の言動

配信者(インフルエンサー)の選定は慎重に行いましょう。ライブコマースは、配信が終わるまでの一部始終がそのまま放送されます。そのため、配信者が商品の魅力を理解できておらず、つたない説明に終始してしまうと、商品やブランドに対する不信感が強まってしまいます。

また、配信者の言動や態度に問題があると、結果としてブランドイメージが低下する可能性があります。丁寧な言葉遣いで話し、差別用語などを使わないのは当然のこと、視聴者からのコメントへの反応や態度にも注意が必要です。

社員が配信する場合は、台本を用意したり、リハーサルを行うなど、経験不足を補うよう心がけてください。さらに配信者の発言に問題があった場合に、即座に訂正する体制を整えておくと良いでしょう。

配信にかかるコスト

ライブコマースにかかる一般的な費用の内訳は以下の通りになります。
・撮影機材費用
・スタジオ費用
・ライブコマースツール利用料
・インフルエンサー費用
・企画・台本制作費用
・撮影・現場ディレクション費用

それぞれの費用を把握し、自社に必要なものを明確化することで、余計なコスト負担をしないよう注意することが必要です。

オムニチャンネル戦略におけるライブコマースの重要性とは

ライブコマース配信は、その出現以来、消費者にとってのオンラインショッピングのあり方を根本的に変えてきました。

例えば中国では、ライブコマースの台頭により小売業が完全に変貌を遂げ、ライブコマースは、半世紀足らずの間に、同国における支配的な販売チャネルとして位置づけられるようになっています。

ライブコマースは、消費者にライブショッピング体験を提供するだけでなく、オムニチャネル戦略において、ブランドやショップの価値を高め、強固な顧客基盤を作ることを可能にすると言えるでしょう。

まとめ

コロナ禍の影響で人々の消費行動が変わり、ファッション業界では、オンライン上でも、いかにリアルと変わらないリッチな購入体験を提供できるかが求められています。

ライブコマースは、各ブランドが自社の製品やサービスを紹介することでリアルタイムに視聴者と関わり、シームレスな購入を促進するオンラインショッピングを実現。世界的に見ても、オムニチャンネル戦略に欠かせないサービスになりつつあります。

ラグジュアリーブランドのEコマース構築運営、コンサルティングを展開するルビー・グループでは、国内ファッション業界では初となるマルチアングルVRライブコマース配信を手がけるなど、先進的な技術導入についても積極的に取り組んでいます。

ECサイトの立ち上げや運営、ライブコマースに関するご質問などありましたら、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
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