【EC担当者必読】知らなかったでは済まされない!特商法改正でECサイトに求められる「3つの表示義務」

2025.12.09

2025.12.09

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【EC担当者必読】知らなかったでは済まされない!特商法改正でECサイトに求められる「3つの表示義務」
自社のECサイトに定期購入(サブスクリプション)モデルを導入している、または導入を検討している事業者でも、「特定商取引法(特商法)の改正があったことは知っているが、具体的な対応内容が不明確」という方は意外と多いのではないでしょうか。

本記事では、定期購入トラブルを防ぐ「最終確認画面」の3大表示義務の解説や、ECサイトが特定商取引法に対応するためのチェックリストのご紹介をしています。

「改正特商法でECサイトに新たに義務付けられた3つの表示の具体的な内容と、その表示例を知りたい」「定期購入トラブルを未然に防ぎ、行政処分リスクを回避するためのチェックリストが欲しい」という方はもちろん、「特商法改正が広告やLP(ランディングページ)に与える影響や、表示が必要な場所(どこに書くか)を把握したい」という方も、ぜひご一読ください。

なぜ今、特商法改正への対応がEC事業者の「急務」なのか

なぜ今、特商法改正への対応がEC事業者の「急務」なのか

まず、「特定商取引法(特商法)」が改正に至った背景には、定期購入(サブスクリプション)における解約・返品のトラブルが、消費者庁に多く寄せられたことがあることがあります。

以下で、そのトラブルの内容と、特商法改正による対応についてご紹介するとともに、特商法改正への対応が、EC事業者にとって急務である理由を解説していきます。

詐欺的な定期購入商法(サブスクリプション含む)の増加

インターネット通販(通信販売)の普及により、「初回無料」「お試し価格」などと表示しながら、実際は高額な定期購入契約になっているケースが急増。これにより以下のような点が問題視されるようになりました。

<問題点>
・広告表示がわかりにくく、消費者が定期購入契約であることを認識できないまま申し込んでしまう
・解約条件や方法が意図的に分かりにくい場所に記載されており、解約が困難になっている

【改正の対応】
消費者が契約内容を誤認しないよう、最終確認画面などで契約に関する重要な情報を分かりやすく表示することを義務付け、表示に問題があった場合の契約取消権を新設(主に2021年改正、2022年施行)

悪質な送り付け商法(ネガティブ・オプション)が多発

事業者が一方的に商品を送り付け、消費者に代金を請求したり、返送の手間をかけさせたりするトラブルが多発。これにより以下のような点が問題視されるようになりました。
<問題点>
・従来の特商法では、商品が送られてきた日から一定期間保管する必要があるなど、消費者側に負担が生じることに

【改正の対応】
消費者が注文していない商品が送られてきた場合、直ちに処分してもよいこととし、代金の支払い義務がないことを明確化(主に2021年改正、2021年施行)

特定商取引法(特商法)違反によるEC事業者(通信販売業者)への行政処分は、消費者庁や地方経済産業局、都道府県によって実施され、その内容は非常に厳しくなっています。

特に近年、定期購入に関するトラブルの増加に伴い、行政処分が増加・厳格化する傾向にあります。

なお、行政処分を受けた事業者は、以下のような大きな影響を受けるので注意が必要です。

→事業停止:業務停止命令により、一定期間、売上がゼロになる
→社会的信用の失墜:処分内容と事業者名が消費者庁のウェブサイトや報道で公表されるため、社会的信用が大きく損なわれる
→取引先との関係悪化:金融機関やECモール、決済代行会社などとの取引にも悪影響が出る可能性がある

以上のことから、特商法改正への対応はEC事業者にとって急務と言えるのです。

【最重要】定期購入トラブルを防ぐ「最終確認画面」の3大表示義務

詐欺的な定期購入商法による消費者トラブル対策を目的とした特定商取引法(特商法)の改正(2022年6月施行)により、ECサイトにおける「最終確認画面」で、定期購入に関する3つの重要項目表示義務が強化されました。ここでは、その内容を具体的に説明いたします。

【表示義務①】契約の種類と継続期間(定期購入であることの明示)

消費者が「自分が何の契約をしようとしているのか」を明確に認識するための、最も重要な項目の一つです。EC事業者は、最終確認画面において、以下の点を消費者が容易に認識できる方法で、分かりやすく表示する必要があります。

最も重要なのは、その取引が「一回限りの購入」なのか、それとも「定期購入(継続的な契約)」なのかを明確に表示することです。

定期購入契約であることの明確な表示

単なる「お試し」「特別価格」といった曖昧な表現ではなく、「この商品は定期購入契約です」といった事実を明確に伝えなければなりません。

<表示すべき内容の例>
「定期購入お申込み後、解約手続きをしない限り、継続して商品をお届けし、代金が発生します」
「この注文は、自動的に更新されるサブスクリプション(定期購入)契約です」

契約の継続期間(縛り)の明示

契約に「最低〇回の継続」といった継続期間の条件(回数縛り)がある場合は、それを明確に表示する必要があります。

<表示すべき内容の例>
「本コースは、最低5回の継続が条件となります」
「5回未満で解約される場合は、別途違約金が発生します」

無期限契約の場合の明示

解約通知がない限り、契約が無期限に継続する(自動更新される)場合も、その旨を明確に示す必要があります。

<表示すべき内容の例>
「本契約は、お客様からの解約通知がない限り、自動的に更新され継続します」

商品の分量(数量)の明示

定期購入の場合、消費者に届く商品の分量(数量)についても、正確に表示しなければなりません。

<表示すべき内容の例>
・各回の分量:「毎月1回、〇〇(商品名)を1袋お届けします」
・総分量(回数縛りがある場合):「5回お届けコースの場合、合計5袋のお届けとなります」
※初回と2回目以降で分量が異なる場合は、それぞれ明記する必要もあります。

【表示義務②】支払総額と各回の支払い金額

価格に関する誤認を防ぎ、定期購入トラブルを解消するために設けられた、極めて重要な規制です。

特に、初回価格が安く、2回目以降の価格が高くなる「初回限定」や「お試し」のサービスにおいて、消費者が実際に支払う総額や継続後の価格を正確に知るために、表示を義務化しています。

EC事業者は、最終確認画面において、注文ボタンの直前など消費者が容易に認識できる場所に、以下の事項を分かりやすく表示しなければなりません(特商法第12条の6)。

各回の代金の表示(最も重要)

定期購入契約の場合、初回だけでなく、2回目以降に発生する各回の代金を正確に明示する必要があります。
<表示すべき内容の例>
・初回限定価格:500円(税込)
・2回目以降の価格:7,980円(税込)
・各回の送料:〇〇円

支払総額の表示

契約に「最低継続回数」などの縛りがある場合は、消費者が最低限支払うことになる代金の総額を、明確に表示しなければなりません。

<表示すべき内容の例>
「本コースは最低3回の継続が条件のため、お客様が支払う総額は、初回500円+2回目以降7,980円×2回=16,460円(税込)です」

※解約通知がない限り自動更新される無期限の定期購入契約の場合、総額を確定できないため、一定期間を区切った支払額(例/1年間の支払額の目安)を表示することが望ましいとされています。

その他の金銭的負担の明確化

商品代金以外に、消費者が負担しなければならない費用(手数料など)についても、その金額まで具体的に表示する必要があります。

<表示すべき内容の例>
・送料: 550円
・代金引換手数料:330円
・消費税
・違約金:途中解約する際に発生する違約金の金額やその計算方法。

※「送料がかかります」といった曖昧な表現では不十分であり、具体的に「いくらかかるのか」を明記しなければなりません。

【表示義務③】契約の解除(解約)に関する事項

解約を希望する消費者を不当に妨害することを防ぐため、EC事業者は最終確認画面において、以下の解約に関する重要情報を、消費者が容易に見つけ、認識できる方法で表示しなければなりません。

解約(撤回)の条件

消費者が契約を解除できる条件や期限を、明確に表示する必要があります。

<表示すべき内容の例>
無条件での解除(クーリング・オフ)が適用される場合、その期間(例/法定書面受領から8日間)と手続き方法
→定期購入の場合の解約条件
「最低継続回数(例/3回)を履行後、解約が可能です」
「最低継続期間中に解約する場合は、違約金が発生します」

解約の手続き方法

消費者が実際に解約手続きを行うための具体的な方法を、分かりやすく記載する必要があります。

<表示すべき内容の例>
・連絡手段:「解約は電話または専用のWebフォームからのみ受け付けます」
・連絡先:解約専用の電話番号と受付時間(例/平日10時〜17時)および解約専用のWebフォームのURLやリンク
・解約の締切:「次回お届け予定日の〇日前までに手続きを完了してください」

※電話が繋がりにくい、Webフォームが見つからないなど、意図的に解約を困難にする行為は、この表示義務に違反する可能性があります。

解約時の金銭的な負担(違約金など)

解約する際に、消費者が負担しなければならない費用や違約金の有無と、その金額を明確に表示しなければなりません。

<表示すべき内容の例>
「最低継続回数(例/3回)未満でご解約の場合、残りの商品代金に相当する違約金として〇〇円をお支払いいただきます」
「解約時の返品送料は、お客様負担となります」

表示義務をクリアする!確認画面の「NG表現」と「OK表現」事例集

特定商取引法(特商法)におけるECサイトの「最終確認画面」は、定期購入トラブル対策の要であり、行政指導の対象となりやすいポイントが集中しています。

特に問題となるのは、消費者が定期購入であること、支払総額、解約条件の3つの重要事項を認識できないようにする表現です。

ここでは、特商法違反(最終確認画面の表示義務違反など)として、EC事業者が指導対象となる具体的な表現例と問題点を、「3大表示義務」に沿ってご紹介します。

表示義務①『契約の種類と継続期間(定期購入であることの明示)』に関する違反表現例

最も多い違反は、「定期購入」である事実を隠したり、目立たなくしたりする表現です。

【例1】「特別モニターコース」や「集中ケアセット」などと表示し、定期購入であることを明確に記載しない。
(問題点)定期購入という契約の性質を、曖昧な表現でごまかしている

【例2】目立つ場所には「初回980円!」と表示し、「定期購入」の文字は注文ボタンから遠い画面下部に、極めて小さな文字で記載している。
(問題点)要事項の表示場所や文字の大きさが不適切で、消費者の注意を引かない

表示義務②『支払総額と各回の支払い金額』に関する違反表現例

消費者が実際に支払う金額を過少に認識させる表現は、厳しく指導されます。

【例1】初回500円のみを強調し、2回目以降の価格を利用規約のリンク先にしか記載していない。
(問題点)各回の支払い金額(特に高額になる2回目以降)が、最終確認画面で確認できない

【例2】最低4回の継続が条件なのに、最終確認画面に「総額30,440円(4回分)」という支払総額を記載していない。
(問題点)最低継続回数分の支払総額を、わかりやすくまとめて表示していない

【例3】「送料無料」と表示しつつ、初回のみ無料、2回目以降は送料がかかる旨を小さく別記している。
(問題点)金銭的な負担(送料)について、誤認を招く不実の表示をしている

表示義務③『契約の解除(解約)に関する事項』に関する違反表現例

消費者が解約の条件や方法を把握できないようにする表現は、特商法違反となります。

【例1】「解約をご希望の方はお電話にて」と記載するが、電話番号や受付時間を一切記載しない。
(問題点)解約の手続きに必要な、具体的な連絡先や連絡手段を明示していない

【例2】解約期限が「次回お届け予定日の10日前まで」であるにもかかわらず、その日付を計算するための情報(次回お届け予定日など)を提示していない。
(問題点)解約の期限や条件が不明確で、消費者が解約を間に合わせるための情報が不足している

【例3】「解約はメール不可」と記載しているが、電話窓口の受付時間を極端に短く(例:平日1時間のみ)設定している。
(問題点)実質的に解約を困難にし、消費者の解約権行使を不当に妨げていると判断される可能性がある

行政指導の対象とならないためには、ECサイトの最終確認画面で以下の3点を「消費者がスクロールせずに一目で確認できる、目立つ場所」に、「明確な言葉および表現」で記載することが不可欠です(赤字や太字でハイライト表示する、など)。

①定期購入であること
②継続回数と支払総額
③解約の条件と具体的な方法(連絡先・期限)

特商法対応ECサイトチェックリスト

特定商取引法(特商法)への対応は、ECサイト運営において必須であり、特に近年の法改正(2022年施行など)によりチェックポイントが非常に細かくなっているため、注意が必要です。

ここでは、ECサイトが特商法に対応するためにチェックすべき重要なポイントを、「最終確認画面」に絞って解説いたします。

☑契約の種類と継続期間のチェック(定期購入の明示)

□定期購入の明確化
単なる「コース」ではなく、「定期購入」や「自動継続」といった明確な言葉を、他の情報に埋もれないように表示しているか。

□継続期間の縛り
最低継続回数(例:3回)や期間の縛りがある場合、その条件を分かりやすく記載しているか。

□商品の分量
1回あたりのお届け数量と、総分量(継続の縛りがある場合)を正確に記載しているか。

☑支払総額と各回の支払い金額のチェック

□各回の代金
初回価格だけでなく、2回目以降の正確な価格(送料・手数料を含む)を、誤認なく表示しているか。

□支払総額        
継続の縛りがある場合、消費者が最低限支払う代金の総額を計算して明記しているか。

□その他の費用
送料、手数料、違約金など、商品代金以外にかかるすべての金銭的な負担と、その金額を具体的に記載しているか。

☑契約の解除(解約)に関する事項のチェック

□解約の条件
解約可能な時期(例:〇回目お届け後)や、違約金の有無とその金額を明確に記載しているか。

□解約手続きの方法
解約専用の電話番号、受付時間、またはWebフォームのURLなど、具体的な連絡手段を明記しているか。

□解約の期限        
「次回お届け日の〇日前まで」といった解約締切日を分かりやすく記載し、その起算日が消費者に伝わるようになっているか。

☑最終ボタンの表示チェック

□注文完了ボタンに、「送信」「次へ」など、有償契約の申込みが完了しないと誤認させるような表記を用いていないか。

□「注文を確定する」など、有償の申込みであることがわかる表記になっているか。

上記に加え、「LP(ランディングページ)や広告に記載した内容と、最終確認画面の内容に矛盾がないか」「表示義務を最終確認画面の目立つ場所(スクロールせずに見える位置など)に配置しているか」「実際に解約手続きを試し、スムーズに完了できるかを検証する」なども、合わせてチェックしましょう。

これらのチェックポイントを満たすことで、特商法に基づく行政指導のリスクを大幅に軽減し、消費者からの信頼を得ることができます。

まとめ

EC事業者にとって特商法改正への対応は、コンプライアンス遵守と顧客との信頼構築に直結する最重要課題です。

ルビー・グループは、ECサイトの構築・運用代行・マーケティング・物流・カスタマーサポートまでを包括的に提供しており、特商法違反のリスクが高い「表示の不備」や「定期購入に関するトラブル」を、運用代行という立場で未然に防ぐことができます。
具体的には、コンサルティング・サイト構築フェーズでは「リスクの洗い出しと設計」が、オペレーション・運用代行フェーズでは「表示の適正化と維持」、カスタマーサポートフェーズでは「トラブルの未然防止」が実現可能です。

特商法対応を「守り」の義務だけでなく、「信頼性の向上」という「攻め」の要素として、事業全体に取り込むためのサポートを提供いたしますので、特商法改正への対応についてお困りであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

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