「売れないフィード」から脱却!商品情報データフィードの品質改善テクニック

2025.12.19

2025.12.19

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「売れないフィード」から脱却!商品情報データフィードの品質改善テクニック
「Googleショッピング広告やCriteoなどを運用しているものの、CPAが高止まりしている」あるいは「フィードファイルをただ流し込んでいるだけで、最適化ができておらず、広告効果が出ていないと感じている」といった、データフィード広告に関するお悩みを抱えるEC事業担当者は多いと思います。

本記事では、効果的なテクニックを用いてフィードを改善することによって、CPA改善と売上向上が実現可能であることを解説しています。

「商品タイトルや画像など、CVRに直結する必須項目を最適化する具体的なテクニックを知りたい」という方はもちろん、「フィード管理ツールを導入する際の選定基準や、ツールを使った自動最適化の方法を知りたい」「ターゲット顧客や在庫状況に応じて、配信する商品を出し分けるセグメンテーションのノウハウを知りたい」という方も、ぜひご一読ください。

「フィードの品質」が広告効果の9割を決める理由

「フィードの品質」が広告効果の9割を決める理由
「フィードの品質が広告効果の9割を決める」と言われる背景には、データフィード広告の仕組み上、フィードこそが広告の「根幹」であり、「クリエイティブ」「ターゲティング」「機械学習」の全てを支配しているという理由があります。具体的に、なぜフィードの品質がそれほどまでに重要なのかを4つのポイントで解説します。

広告クリエイティブの全てがフィードから生成されるから

従来の広告と異なり、データフィード広告では、広告として表示されるクリエイティブの要素のほとんどがフィードの情報から自動で生成されます。つまり、フィードの情報が広告そのものであるため、その品質が低ければ表示される広告の質も必然的に低くなり、効果が出ません。具体的には、フィードの品質に問題があると以下のような問題を引き起こします。

・商品名(タイトル):検索キーワードとのマッチングが悪くなり、クリック率(CTR)が低下する。
・画像URL:低解像度・不適切な画像だと、ユーザーの興味を引けずクリックされない。
・価格、在庫:サイトと広告で情報が不一致だと、ユーザーの信頼性を損ない、コンバージョン率(CVR)が低下する。最悪の場合、広告が審査落ちする。
・説明文:魅力的な説明文がないと、商品の価値が伝わらず、競合に負ける。

機械学習とターゲティングの「精度」を左右するから

データフィードは、広告媒体(Google、Metaなど)の機械学習エンジンが、最適なユーザーを見つけ出すための唯一の「教科書」です。

豊富な情報が精度を向上させる
商品カテゴリ、ブランド、色、サイズ、性別などの任意項目(必須ではない項目)に正確で詳細な情報が入力されているほど、機械学習は「その商品を買いたいのはどんなユーザーか?」を深く理解できます。

例:「黒のハイヒール」という情報だけでなく、「素材:レザー」「ヒールの高さ:8cm」「利用シーン:パーティー」といった情報が多いほど、購買意欲の高いユーザーへの的確なレコメンドが可能になります。

情報不足は機会損失につながる
必須項目しか入力されていないフィードでは、機械学習が最適化できず、ターゲティング精度が低下します。結果として、広告がユーザーのニーズと合致せず、広告の表示機会が減少したり、クリック単価が高騰したりします。

広告媒体の「評価」と「表示機会」に直結するから

Googleショッピング広告など、一部の広告媒体では、データフィードの品質自体を評価する仕組みを持っています。

フィードに誤り(例:価格不一致、リンク切れ、不適切な画像)が多い場合、広告が審査落ちしたり、広告の表示回数自体が制限されたりすることがあります。

また、広告の掲載順位を決める「広告ランク」や「品質スコア」も、フィードの情報に関連しています。品質スコアが低いと、高い入札額を払っても広告が上位に表示されにくくなります。

運用効率と情報鮮度を担保するから

フィードの品質が悪いと、運用フェーズで以下の問題が発生し、広告効果が下がります。

リアルタイム性の欠如
在庫や価格の更新頻度が低いと「在庫切れの商品が広告に表示される」という最悪のユーザー体験を生み、顧客の信頼を失い、機会損失が発生します。

手動修正の発生
フォーマットの誤りやデータの抜け漏れが多いと、広告運用者が都度手動で修正する手間が発生し、データフィード広告の最大のメリットである「工数削減」が失われます。

データフィードは単なる商品情報の羅列ではなく、広告配信システムに組み込まれたAIを動かす設計図です。この設計図の精度が低ければ、その効果は限定的にならざるを得ません。

だからこそ、「フィードの品質」が広告効果の根幹であり、結果として「9割を決める」と言われるほどに重要視されるのです。

「売れないフィード」に共通する3つの品質問題

データフィード広告における「フィードの品質問題」は、広告効果を阻害する直接的な原因となります。これらの問題と、それぞれに対する代表的な対策方法をまとめます。

情報の不足・不適切に関する問題

<商品名の不適切・不足>
商品名(title)が短すぎる、検索キーワードが含まれていない、または規約違反の表現が含まれる。

<画像の品質問題>
画像(image_link)が低解像度、ウォーターマーク入り、または背景が不適切(Googleショッピング広告など)。

<任意属性(カテゴリ・色など)の不足>
Googleプロダクトカテゴリや色 (color)、サイズ (size)といった任意項目が空欄になっている。

対策と予防策

1. 媒体診断レポートに基づいた継続的な修正
媒体側から「情報の品質が低い」と指摘された項目について、都度修正を繰り返します。

審査落ちには至らなくても、「タイトルが短すぎる」「カテゴリが深すぎる」といった警告(Warning)が出ている場合は、機械学習に悪影響を及ぼす可能性があるため、積極的に改善しましょう。

2. フィードパフォーマンスの定期分析
フィード内のどの情報が広告効果に貢献しているかを分析し、改善に活かします。商品カテゴリ、ブランド、色、カスタムラベル(任意に設定できるタグ)などの属性ごとにROAS(広告費用対効果)やCVR(コンバージョン率)を分析し、効果の高い属性値を持つ商品のフィード情報をさらに強化します。

ROASが低い商品を特定し、その原因がタイトル、画像、カテゴリのいずれにあるのかを調査し、フィードを手動または自動ルールで改善します(例: タイトルを変更してCTRを改善する)。

リアルタイム性の欠如に関する問題

<新商品の反映遅延>
ECサイトで新商品が発売されても、フィードに追加されるまでに時間がかかる。

<セール価格の反映漏れ>
セールや期間限定価格が、フィード(sale_price)に反映されず、通常価格で広告表示される。

対策と予防策

1. メインフィードの更新頻度最大化
媒体が許容する範囲で、メインフィード(すべての情報を含む)を1日に複数回(例:4〜6回以上)更新する。

2. 在庫・価格補足フィードの活用
Google Merchant Centerなど一部の媒体では、在庫と価格のみを更新するための軽量な補足フィードの利用が可能です。この補足フィードの更新頻度を、メインフィードよりもさらに高く設定します。

媒体ガイドライン違反に関する問題

<価格の不一致>
フィードのpriceと、ランディングページ(またはECサイト)に表示されている最終価格が異なる。

<在庫の不一致>
フィードでは在庫ありとされているが、サイトでは在庫切れになっている。

<過剰なプロモーション表記        >
タイトル(title)や説明文(description)に「送料無料」「最安値」「特別価格」などの煽り文句を過剰に使用している。

<誤解を招く情報>
商品と直接関係のないキーワードを詰め込んだり、不正確なブランド名を記載したりしている。

対策と予防策

1. 媒体の診断レポートの徹底活用
Google Merchant CenterやMeta Business Managerなどの診断(Diagnostics)タブを毎日チェックし、「不承認(Disapproved)」や「警告(Warning)」が出ている商品を即座に特定し、フィードを修正する。

2. 媒体規約の定期的なキャッチアップ
特に年末商戦期や新しい広告フォーマットの登場に伴い、媒体のガイドラインは頻繁に更新されます。媒体からのお知らせやメールを定期的にチェックし、フィードのルールを適宜更新しましょう。

CVRを上げる!必須項目「3大最適化テクニック」

それではここで、フィードを作成するにあたっての最適化テクニックについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

商品タイトル(Title)の最適化

商品タイトルは、検索とのマッチング、ユーザーのクリック率(CTR)、機械学習の精度のすべてに影響を与える「フィードの顔」です。

それだけに、データフィード広告において、商品タイトル(Title)の最適化は、フィードの品質問題のなかでも特に重要度が高く、広告効果に直結する要素です。

具体的な最適化の方法は以下の通りになります。最大のポイントは「重要な情報を構造化して配置すること」「禁止事項と制限を回避すること」です。

タイトルの構成要素と優先順位の決定

(1)最も重要なキーワード/ブランド名/ユニーク名
ユーザーとシステムの目を引き、検索キーワードと一致させる

(2)属性情報(色、サイズ、素材)
ユーザーが探している商品かを即座に判断させる

(3)関連キーワード、シリーズ名、性別
検索のバリエーションに対応し、詳細情報を補完する

(4)品番、販売者情報
ユニークな識別子として使用
☓悪い例「おしゃれな春のブラウス」
◎良い例「[ブランド名] Vネック長袖ブラウス 白 Mサイズ 綿100%」

禁止事項と制限の回避(クリーニング)

・過剰なプロモーションの回避
「送料無料」「最安値」「今だけ」といったセールス文句をタイトルから削除する

・キーワードの羅列の回避
意味のないキーワードの繰り返しや羅列を避け、自然な文章構造を保つ

・不要な特殊文字の回避
句読点、記号、大文字の過剰使用(例: SALE!!!)を避け、簡潔にする

・文字数制限
媒体や表示形式に応じ、全角30〜40文字程度(Googleでは60文字まで許可されるが、表示されるのは30文字前後が多い)で最も重要な情報が完結するように調整

画像(Image Link)の改善

データフィード広告において、画像(Image Link)は、商品タイトルと並び、ユーザーの視覚的な関心を引き、クリックを促す重要な要素です。画像が不適切だと、せっかくの広告が表示されなかったり、CTRが大幅に低下したりします。

ここでは、フィード広告における「画像(Image Link)の改善」に関する具体的な方法と、運用フローについてご紹介します。

フィード管理ツールでの自動加工

手動での画像加工は非効率なため、フィード管理ツール(FMC)を活用し、ルールベースで自動処理を組み込む

・自動切り抜き/リサイズ
商品画像がマスターデータで大きすぎる場合、媒体の規定サイズに自動でリサイズし、必要な場合は中央でトリミング

・背景の自動変換
商品画像をAIなどで認識させ、背景を自動で透過・または白背景に変換する処理を組み込む

定期的な審査落ち画像の確認

Google Merchant Centerなどの媒体の診断レポートを毎日確認し、画像が原因で不承認となった商品があれば、即座に画像データを修正して再送信

画像のABテストの実施

動的リターゲティングなどで「白背景の画像」と「使用シーンの画像」を出し分けるテストを行い、どちらのパターンがCTR/CVRが高いかを検証し、効果的な画像を優先的に利用する

商品の説明(Description)の強化

データフィード広告において、「商品の説明(Description)」は、タイトルや画像で伝えきれない詳細な情報や商品の魅力を補完し、ユーザーの購買意欲を高める重要な役割を果たします。特に、価格や画像だけでは判断しにくい高額商品や複雑な商品において、その重要性が高まります。

説明文を強化することで、ユーザーの期待値が満たされた状態でサイトに誘導されるため、CTRだけでなく、結果的にCVRの向上にも寄与します。

キーワードの戦略的な配置

タイトルと同じキーワードを羅列するのではなく、補完的なキーワードを自然な文章の中に含める

・関連キーワードの活用
商品名やカテゴリ名だけでなく、その商品の用途、素材、互換性、ターゲットユーザーに関するキーワードを盛り込む
例(リュックサック): 「ビジネスシーンに最適」「撥水加工」「15インチノートPC対応」「チェストストラップ付属」など

・ニッチな検索語句への対応
ユーザーがスペックや機能で検索する可能性のある、細かい技術用語や品番などを記載

・文章の冒頭に最も重要な情報を配置
広告媒体によっては説明文の一部しか表示されないため、最初の160〜500文字以内に、商品のベネフィットや主要な特徴を凝縮して記載

商品の特徴とベネフィット(利点)の明記

単なる仕様だけでなく、「それを使うことで得られる価値」を伝えます。

・素材/品質:素材名(例: 本革、オーガニックコットン、高強度チタン)、原産国、耐久性、保証期間
・用途・機能:「オフィスでの使用に特化」「雨の日の外出に最適」「自動調理機能搭載」「静音設計」など、具体的な利用シーンと機能
・サイズ/適合性:サイズの詳細(例: 着丈、身幅)、適合する機器や車種の情報、互換性(例: iOS/Android対応)
・独自のセールスポイント:他社にはないユニークな特徴、デザイン性、受賞歴など

構造化された見やすい記述(箇条書きの活用)

説明文は、長文になりがちで読まれにくい傾向があります。重要な情報は箇条書きや改行を使って見やすく整理しましょう。

・改行と箇条書きの活用
媒体によっては改行や箇条書き(ハイフンやアスタリスク)が反映されるため、機能や仕様を羅列する際には箇条書きを使い、ユーザーが瞬時に情報を読み取れるようにする
例:- 100%防水素材使用 - 軽量設計(500g) - 内部ポケット3箇所
・パラグラフの使用
複数の段落に分け、重要な情報と補足情報を区切って記載することで、可読性を高める

広告効率を高める「データフィードの戦略的運用」

データフィード広告の効率を高める「データフィードの戦略的運用」とは、単にガイドラインを遵守するだけでなく、広告効果(ROAS/CVR)を最大化するために、フィードデータを能動的に活用・最適化し続ける運用手法を指します。ここでは、その戦略的な運用方法を3ステップに分けてご紹介します。

ステップ 1: 広告対象商品の絞り込みと選定(データセットの最適化)

すべての商品を一律に広告配信するのではなく、効果の高い商品、あるいは戦略的に売りたい商品に広告予算を集中させます。

パフォーマンスに基づく除外と集中
・低効果商品の除外
過去の広告配信データから、ROASが継続的に低い、またはCVRが極端に低い商品をフィードから一時的または恒久的に除外
在庫切れが常態化している商品、レビュー評価が極端に低い商品も配信対象から除外
・高効果商品への集中
ROASが高い、または利益率が高い商品を特定し、これらの商品の入札単価を自動調整したり、別のフィードとして切り出して特別に最適化

戦略的なカテゴリ/ブランドの絞り込み
・季節性/トレンドの反映
季節商品(例:夏には水着、冬にはコート)や、今SNSで話題になっているトレンド商品を優先的にフィードに含め、タイトルや画像もトレンドに合わせて最適化
・新規/在庫処分商品の選定
新商品:広告予算を厚く投下し、多くのユーザーに認知させるフィード戦略を適用
在庫処分品:在庫数をフィードに明記し、割引価格(sale_price)を設定して早期の在庫消化を目指す

ステップ 2: データの付加価値向上とカスタマイズ

フィード内の必須項目以外のデータ(任意属性)を充実させ、機械学習の精度を飛躍的に高めます。

「カスタムラベル」による商品の分類
広告媒体(Googleなど)のカスタムラベル(custom_label_0〜custom_label_4など)を活用し、商品管理システムにはない独自の切り口で商品を分類
※「カスタムラベルの活用例」と「設定する値の例」は以下を参照
・利益率:High_Profit / Medium_Profit / Low_Profit
・商品寿命:Short_Life / Long_Life
・価格帯:Price_Tier_A / Price_Tier_B
・競合優位性:Only_In_Store / Best_Seller

複数フィードの使い分け(媒体最適化)
同じ商品データであっても、媒体の特性に合わせてフィードを最適化します。
・Googleショッピング広告用:タイトルは検索キーワード重視、画像は白背景を徹底
・Meta(Facebook/Instagram)用:動的リターゲティングに効果的なライフスタイル画像(使用シーン)を優先し、説明文は感情に訴えかけるトーンに調整

ステップ 3: 継続的なPDCAサイクル

フィード最適化は一度で終わらず、データ分析に基づき継続的に改善します。

フィードパフォーマンスの分析と改善
・属性ごとの成果検証
広告媒体のレポートで、どのブランド、カテゴリ、カスタムラベルが最も高いROASを生み出しているかを定期的に分析
・ボトルネックの特定
インプレッションが少ない場合→タイトル(キーワード不足)を改善
CTRが低い場合→画像、タイトル前半を改善
ROASが低い場合→除外キーワードを追加、または商品の絞り込み(ステップ1)を再検討

自動化とフィード管理ツールの最大限の活用
・ルールの自動適用
過去のデータに基づき、「ROASがX以下の商品はフィードから除外する」「利益率が高い商品のタイトルに『人気』という文言を自動追加する」といった自動ルールをフィード管理ツールで設定し、運用の工数を削減しながら効果を高める

まとめ

「誰に」「何を」「いつ」見せるかを自動化・最適化し、膨大な商品を扱うEC業界では欠かせないデータフィード広告は、フィードという「種」を蒔いてAIという「エンジン」で育てる仕組みの上に成立しています。

データフィード広告の運用において、フィードの品質が重要である理由は、フィードが単なるデータリストではなく、広告配信システム全体の「設計図」かつ「燃料」となるからです。

「品質の悪い種」(不正確なデータ)や、「不十分な燃料」(情報不足なデータ)では、いくら優秀なAIエンジンを使っても、期待する成果を得ることはできません。その結果、広告効果の根幹に関わる3つの主要な要素(表示機会、クリック率、学習精度)がすべて損なわれてしまいます。

だからこそ、フィードの品質改善が広告運用のすべての土台であり、効率と成果の9割を決めると言われるほどに重要なのです。

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この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム

各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
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