
本記事では、「ZOZOTOWN」への出店を成功させるための具体的な手順や戦略を解説しています。
「ZOZOTOWN出店の条件や手順について知りたい」「出店にかかる費用や手数料の詳細を理解したい」という事業者の方はもちろん、「自社ブランドの魅力をZOZOTOWN内で最大限発揮する方法を学びたい」「ZOZOTOWN出店と自社ECサイト運営を両立する方法や相乗効果を模索したい」という方も、ぜひご一読ください。
ZOZOTOWN出店のメリットと市場規模

「ZOZOTOWN」は、株式会社ZOZOが運営するBtoCのファッション通販ECサイトです。利用者は20〜30代の男女が多く、身近なプチブランドからグローバルなハイブランドのアイテムまで展開。
「受託販売」「買取・製造販売」「ZOZOUSED」の3つの業態で成り立っていますが、個店として出店する場合は「受託販売」になります(受託販売の2024年3月末実績は1,566店舗)。
出店した場合、商品の売上金額から「ZOZOTOWN」側に支払う月額利用料などを差し引いた金額が、売上高になります。
それでは「ZOZOTOWN」に出店するメリットを具体的に見ていきましょう。主なメリットは以下の3点になります。
認知度が飛躍的に向上
「ZOZOTOWN」は、ブランド数が「9,021ブランド(※)」、年間購入者数が「1,168万人(※)」、また年間の商品取扱高は5,743億円(2024年3月期)と、圧倒的な実績を誇るファッション通販サイトの最大手ですので、出店するだけで自社ブランドの認知は大きく向上します。
さらに、ダウンロード数(2024年3月末時点)が1,700万件を超える、コーディネートアプリの「WEAR」が集客に大きく寄与。同アプリを使うことで消費者は、最新の服のコーディネートや、アイテムを検索して、自分の好きな服や靴のコーディネートを探すことができるだけでなく、「ZOZOTOWN」でその服を購入することも可能に。
「WEAR」からの集客は質(服を買う見込客)が高いため、「自分に似合うファッションアイテムが欲しい」と考えている潜在層に対して、効率的にアプローチをすることができる点が魅力です。
※出展「数字で見るZOZO」https://corp.zozo.com/recruit/statistics/
運営負担・コスト削減が可能
「ZOZOTOWN」に出店すると、以下の業務代行をしてくれます。
・商品保管
・検品
・ささげ
・梱包
・配送
いわゆる「ささげ(撮影・採寸・原稿)」作業も任せられるため、出店者は商品在庫を「ZOZOTOWN」に預けるだけでOK。
自社ブランドをテナント形式で出店しながら、商品保管や出品準備、発送手続きなどの手間が省け、
倉庫のレンタル費や人件費などのコストも削減することが可能になります。
購入率アップのためのバックアップを得られる
実際に「ZOZOTOWN」を利用してみるとわかるのが、ECサイトでの購入が不慣れな消費者へきめ細やかなサポートをしてくれるところ。
たとえば通常のECサイトでは、カートに入れるまでのステップとして「サイズの選択」「色の選択」「カートに入れる」というアクションが必要です。一方の「ZOZOTOWN」はそれらをワンクリックで選択でき、コンバージョン直前での離脱を抑えています。
またクレジットカード番号の入力で戸惑っていると、サポートのチャット画面が出るなど、初めて購入する方が手間取らないようフォローも。
その他にもログインせずにお気に入り登録ができたり、商品詳細画面で配達のタイミングを伝えたり、新規登録を促す高額クーポンの発行がされたりといった、購入率を高めるための様々な工夫が施されています。
出店条件と費用の詳細
「ZOZOTOWN」への出店方法は、必要事項を記入して公式サイトから審査の申請依頼をするだけです。非常に簡単なので、初心者の方でもスムーズに進められるでしょう。しかし、出店条件や形式などを事前に確認する必要があります。ここでは、出店条件や必要なコストなどについて解説します。
出店条件
まず、「ZOZOTOWN」に出店エントリーする際に記入必要事項を見ていきましょう。
具体的には以下の通りです。
・会社名
・ショップ名
・企業年商
・EC年間実績
・取り扱いブランド
・年間展開品番数
・HPリンク
・自社ECリンク
・SNSアカウント
・ブランド概要の自由記述など
上記を記入して申し込みをした後、審査に通過した場合は連絡があります。公式に詳細な出店条件は公開されていませんが、審査の際には「ブランドの知名度や売上規模」「十分な商品数があるか」「コンセプトやターゲットがZOZOTOWNと合っているか」あたりが重要視されていると考えられ、小規模事業者や、知名度が高くないブランドの場合は出店が難しいことが予想されます。
出店コスト
「ZOZOTOWN」出店に関するコストは公表されていませんが、初期費用は約200万円、月間費用は売上高の20〜40%と言われています。なお、主なECモールのコスト比較は以下の通り。
・ZOZOTOWN(初期費用:約200万円 月額費用:月間売上の20~40% 手数料:無料)
・Amazon(初期費用:無料 月額費用:大口/4,900円 手数料:8%~15%)
・楽天市場(初期費用:6万円 月額費用:50,000円 手数料:月間売上の2%~5%)
別項で説明した通り、「ZOZOTOWN」の場合は商品管理や出店準備、商品発送など店舗運営コストが大幅に削減できる反面、初期費用や月額費用が他のECモールより高めの設定になっています。
また、「ZOZOTOWN」が頻繁に発行するクーポンは、出店企業が負担する点にも注意が必要です。
これらの費用を十分に比較検討したうえで「ZOZOTOWN」に出店するか否かの戦略を練る必要があるでしょう。
なお、「ZOZOTOWN」へ直接テナント出店する以外にも、既に出店している事業者と契約して、商品を「ZOZOTOWN」内ショップで展開してもらう方法があります。
小規模なアパレル会社の場合、出店のための審査に通りにくい可能性があるため、こちらの選択肢も検討しましょう。なお手数料や具体的な契約内容は、事業者によって異なります。
出店後に成功するための運営戦略
ここでは、「ZOZOTOWN」で効果的に売上を伸ばす方法について紹介いたします。
ぜひ参考にしてみてください。
クーポンを発行して「LTV」の向上を目指す
「ZOZOTOWN」では日替わりクーポンを発行していますが、「ZOZOTOWN」内で一律利用できるものではなく、ショップごとのクーポンとなり割引の内容も異なります。
内容がユーザーに事前に知らされることがないため、特にお気に入りのショップのクーポンが24時間の期限付きとなれば、ユーザーの購買意欲を刺激することになります。
またユーザーは、たとえ「これが欲しい!」という商品がなくても、クーポンを期待して何度もサイトに足を運ぶようになり、そういているうちに「ついで買い」をしてしまうなど、LTV(ライフタイムバリュー)の向上につながることも期待できます。
このように「ZOZOTOWN」においてクーポンは絶大な効果を発揮しますが、ユーザーがクーポンが発行されるまで欲しい商品を買い控えをするようになるリスクもあるので、割引施策は慎重に行いましょう。
「WEAR」を活用して、コーディネートから購入への導線を確保
「ZOZOTOWN」が運営するファッションコーディネートアプリ「WEAR」は、アパレルに特化したSNSアプリです。
公認のファッショニスタ「WEARISTA(ウェアリスタ)」やショップスタッフ、一般ユーザーによる1,400万件以上のコーディネートが投稿され、リアルなファッション情報を得られる唯一無二のアプリとして、多くのユーザーに利用されています。
ユーザーは投稿されたコーディネート写真から、お気に入りの投稿者やアイテムを見つけ、欲しいアイテムがあれば直接「ZOZOTOWN」で購入することが可能。
さらに2024年5月のリニューアルにより、ZOZOTOWN IDと連携することで、「ZOZOTOWN」上でお気に入り登録しているブランドやショップのコーディネートや、過去に購入・お気に入り登録したアイテムのコーディネートなどを、簡単に探すことが可能になりました。
このように「ZOZOTOWN」と「WEAR」がよりシームレスに連携したことで、利用者は「ZOZOTOWN」で買い物をする前に気になるアイテムのコーディネートをイメージしたり、購入したアイテムの着回し方をチェックすることができるように。
「ZOZOTOWN」に出店したら、自社取り扱いアイテムを使ったコーディネートを積極的に「WEAR」にアップし、お気に入りのコーディネートから購入へと結びつける導線を確保しましょう。
レビュー投稿を促進させ、ブランドの信頼性を高める
「ZOZOTOWN」では、購入した商品へのレビュー投稿と、投稿されたレビューを閲覧できるアイテムレビュー機能を、2023年11月より提供開始。投稿されたレビューは各アイテムの商品ページに表示され、全ユーザーが閲覧することができるようになっています。
ECサイトにおけるネガティブなレビューは、ブランドやショップにとって不安な要素ではありますが、商品改善のための貴重なフィードバック源でもあります。
レビューの内容を真摯に受け止めることで「顧客が何を期待していたのか」などが分かり、より顧客のニーズに合った製品改良が可能になり、それがブランドの信頼性を高めることに繋がります。
また「購入者の生の体験を訴求できる」「SEO対策につながる」といった効果も期待できるため、購入者へインセンティブを提供するなどして、積極的にレビュー投稿を促しましょう。
なお「ZOZOTOWN」では、ユーザーのアイテムレビュー投稿をAIがパトロールし、レビューガイドラインに基づいて違反を自動で検出するツール「アイテムレビューパトロール」を2024年より導入。ガイドライン違反の可能性が高いと判断されたレビューのみを、事業者が目視にてチェックできるようにしています。
検索連動型広告を出稿して、エンゲージメントを高める
「ZOZOTOWN」の中で「スニーカー 黒 メンズ」といったファッション関連ワードで検索すると、検索結果と並んで「PR」表記が入った表示された画像が、検索結果の最上段のほか下段にも繰り返し表示されます。これが、2018年秋から導入された「ZOZOAD(ゾゾアド)」と呼ばれる検索連動型広告です。
ユーザーが検索したキーワードに基づき、広告出稿する出店ブランドの商品の中から適切な商品を上位表示する仕組みで、いわば「EC内におけるリスティング広告」とも言えるメニュー。「ZOZOTOWN」の中で競争優位性を発揮するために活用されることが多く、「ZOZOTOWN」の出店者のうち既に6割以上がZOZOADを活用していると言われています。
「ZOZOTOWN」で欲しいものを探している顧客にリーチできるため、高いエンゲージメントが期待できる点が魅力。競合ブランドが「ZOZOTOWN」に多数出店している場合は、検索連動型広告を出稿することも検討してみましょう。
ZOZOTOWNだけじゃない、注目すべきZOZOのソリューション
これまで、ユーザーが自ら詳細な体型を採寸できる3D計測用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」をはじめ、革新的なサービスを展開してきた株式会社ZOZO。
ここでは、ファッションECモールの運営以外の、株式会社ZOZOが展開する各種ソリューションサービスをご紹介します。
「Made by ZOZO」〜ファッションブランドの在庫リスクゼロを目指す生産支援プラットフォーム〜
「Made by ZOZO(メイドバイゾゾ)」は、大量生産・大量廃棄の業界課題解決を目指し、2022年に立ち上げられた生産支援プラットフォームです。
同社が所有するデータやノウハウに基づき、各ブランドに商品企画を提案。独自に開発した複数の異なるデザインの商品を同時並行で生産可能にするシステムにより、最低1着から生産をおこない、商品を受注してから最短10日で発送します。
これまでは、季節ごとに一定量をまとめて生産する方法が一般的でしたが、「Made by ZOZO」では「ZOZOTOWN」上で商品を受注した後に生産工程に入るため、過剰在庫による売れ残りリスクゼロで販売でき、商品のバリエーションを豊富に揃えることが可能になります。
「ZOZOMO」〜ZOZOTOWNとブランド実店舗をつなぐOMOプラットフォーム〜
「ZOZOMO(ゾゾモ)」は、オンラインとオフラインをシームレスにつなぎ、ファッションブランド実店舗の売上を支援するプラットフォーム。
「ZOZOTOWN」上で「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」が出来るサービスを提供することで、出店者は、「ZOZOTOWN」を訪れるお客様へ実店舗の在庫情報をお知らせすることができ、実店舗への集客と、実店舗における別商品のあわせ買いが期待できます。
また、ショップスタッフの効率的な販売をサポートする専用ツール「「FAANS(ファーンズ)」の提供により、「ZOZOTOWN」上で実店舗の在庫取り置きを希望したお客様への対応を、ショップスタッフが簡単に完結できるようにしています。
さらに、「ZOZOTOWN」の在庫とブランド自社ECの在庫を一元管理できるサービス「「Fulfillment by ZOZO(フルフィルメント バイ ゾゾ)」で、「ZOZOTOWN」とブランド自社ECの在庫が一元管理が可能に。これにより、各チャネルにおける商品欠品による販売機会の損失を最小化することが期待できます。
「ZOZOMETRY(ゾゾメトリー)」〜事業者向け計測業務効率化サービス〜
「ZOZOMETRY(ゾゾメトリー)」は、2024年にローンチした、事業者向け計測業務効率化サービスです。
「ZOZOSUIT」の計測テクノロジーを活用し、「ZOZOSUIT」を着用しておこなう計測と、「ZOZOSUIT」を使用しない計測の2種類の身体計測方法を提供。専用のスマートフォンアプリで身体をスキャンして高精度な3Dデータを生成し、独自AIを用いて身体の計測数値を算出。最大で身体の139箇所を、約1分で高精度に計測することが可能です。また、計測した身体データは管理ツールに自動的に連携され、一元管理が可能です。
事業者は、利用開始にあたって大きな設備投資やシステム開発が不要で、アカウントの申込みだけで簡単に導入が可能。計測者に特別なトレーニングも不要で、スマートフォンのカメラさえあれば場所を選ばずにどこでも計測できるため、人手不足や計測者ごとの計測結果のばらつきを解消し、採寸が必要な服の売上拡大やコスト削減が期待できます。
【まとめ】ZOZOTOWN出店ガイド ~成功するための戦略と事例~
クレジットカードを作ったり銀行口座を用意する必要がなく、注文日から2か月以内であればいつでも好きなタイミングで支払える「ツケ払い」を導入するなど、ユーザーの“かゆいところに手が届く”様々な施策を実施して顧客満足度の向上に繋げている「ZOZOTOWN」。
今や単なるECプラットフォームを超えて、ファッション業界における革新的で多様性のある存在となっています。
その一方で、ブランドの知名度・売上・商品数などが審査の対象となるため、小規模事業者は出店が難しく、また商品の保管から発送までを代行しているため、他のサイトと比べて初期費用や月額利用料が高いといった点にも注意を払う必要があります。
こうしたメリット・デメリットを勘案して、総合的に「ZOZOTOWN」への出店の判断を検討することをおすすめいたします。