2023.6.19

2023.10.11

#物流

ECサイト運用における物流コストの見直しと適正化

物流コストの改善は企業にとって課題の一つかと思います。売上の拡大と共に物流コストも上がり、利益を最大化させるためにコストの最適化を考える企業も少なくないです。本記事では、物流コストの詳しい内訳から最適化のポイントまで詳しく解説していきます。

物流コストとは

物流コストとは、商品や物資を供給源から消費の元へ輸送する際に発生する全ての費用を指します。
輸送費や倉庫の賃料、光熱費はもちろんのこと、人件費やシステムの管理費など、物流に関わる全ての費用を指します。
物流コストを最適化するためには、コストの内訳を理解し、どこにどれだけの費用がかかっているのか把握する必要がございます。

物流コスト比率について

物流コスト比率とは、企業の総経費に対する物流に関連する費用の割合を示す指標です。
商品の輸送や保管、注文処理、在庫管理、商品の損失などが含まれます。

物流コスト比率は企業の物流効率を評価するための重要な指標で、比率が高いと、企業の利益が物流によって大きく損なわれてしまうことを意味します。
逆に、比率が低ければ、物流が効率的に行われていると考えられます。

物流コストを適切に管理することは、企業の競争力を高め、顧客満足度を向上させる上で重要です。
そのため、企業は物流コスト比率を低く保つことを目指し、 効率的な物流システムを維持するための戦略を立てることが求められます。

戦略には、在庫管理の最適化、適切な供給チェーン管理、輸送ルートの最適化などが含まれます。
それでも物流コスト比率はあくまで一つの指標であり、全てを物語るものではありません。
例えば、比率が低い企業でも顧客からの商品到着の遅れなどの苦情が多い場合、物流の質自体は低いと言えます。

また、比率が高い企業でも、特殊な商品を扱っていたり、地理的に不利な位置にある場合など、物流コストが高くなる理由があるかもしれません。そのため、物流コスト比率を評価する際には、企業のビジネスモデルや状況全体を考慮することが重要です。


売上高物流コスト比率の平均値

日本ロジスティクスシステム協会の2022年度調査によると、全業種平均で物流コスト比率は5.31%となっておりますおり、長期的な上昇傾向にあります。2021年度調査においては、過去20年間でもっとも高い5.70%を記録しました。


売上高物流コスト比率の推移(全業種)

参照元:物流コスト調査:日本ロジスティクスシステム協会



売上高物流コスト比率の計算方法
売上高物流コスト比率=トータル物流コスト÷売上高

物流コストの内訳

物流コストは、商品の取扱い、運送、保管などに関連して発生し、多岐にわたります。
以下に一部の主要な4つの物流コストの内訳を挙げてみます。


運送コスト

運送コストは物流コストの大部分を占めており、商品を一箇所から別の箇所へ移動させるためのコストです。トラック、列車、船、飛行機など、様々な移動手段での運送コストが含まれます。



保管コスト

保管コストは倉庫で商品を保管するためのコストで、倉庫のレンタル費用、保管スペースのコスト、エネルギーコスト(照明、暖房、冷房など)、保管に必要な機器や技術のコストなどが含まれます。
在庫を多く保管することで、商品の損失や劣化、保険、税金などのコストが発生します。



荷役コスト

注文を受けてから配送までのプロセスに関連するコスト。注文処理、ピッキング、パッキング、出荷などの作業が含まれます。



人件・システムコスト

物流作業員に対する給与の人件コストや、商品の追跡、在庫管理、出荷スケジューリング、ルート最適化などのための情報システムのコスト。


以上の各コストは企業によって異なり、特定の商品やサービス、地域、ビジネスモデルなどによっても影響を受けます。コストの内訳を理解し、適切に管理することで、企業は物流コストを最小限に抑え、効率性と利益性を向上させることができます。

物流コストが上昇してしまう原因

物流コストが上昇する原因は様々で、以下のような要因が考えられます。

燃料費の増加:物流にはトラック、船、飛行機などの輸送手段が関わります。燃料価格が上昇すれば、物流コストも同様に上昇します。

労働コストの上昇:ドライバーや倉庫作業員など、物流に関わる労働者の賃金が上昇すると物流コストも上昇します。

インフラ整備の遅れ:物流ネットワークの効率は、道路、港、空港などのインフラに大きく依存します。
整備が遅れると、輸送にかかる時間や労力が増え、コストが上昇します。

輸送量の変動:需要が急増した場合や、季節性商品のピーク時など、一時的に輸送量が増えると物流コストが上昇します。

規制と税制:輸送に関する規制や税制の変更もコストに影響を及ぼすことがあります。
例えば、環境規制により燃費の良い車両への更新が必要になった場合、初期投資コストが増大します。

天候と災害:悪天候や自然災害は輸送を遅延させたり、代替ルートを使用する必要があったりするため、コストが増加することがあります。

以上のような要素が複合的に絡み合って物流コストが変動します。これらの要素を理解し、適切な予測と計画を行うことで物流コストの上昇を抑制することが可能となります。

物流コストを見直すポイント

物流コストを見直し、最適化するためのポイントはいくつかあります。
以下に、具体的なポイントをいくつか挙げてみます。

供給チェーンの最適化:物流コストを下げるための一つの方法は、供給チェーン全体を見直し、最適化することです。在庫管理、輸送ルートの最適化、パートナーとの契約条件の見直し等が含まれます。

自動化とテクノロジーの利用:最新のテクノロジーを活用して、物流プロセスを自動化し効率化することも重要です。例えば、AIと機械学習を使って、需要予測を改善したり、最適なルートを計算したりすることができます。

パートナーシップの見直し:輸送業者や供給業者との契約を見直し、より効率的なサービスを提供できるパートナーを探すことも一つの方法です。

リーダブルタイム(再利用可能な時間)の管理:適切なスケジューリングとルート計画により、運送車両のアイドル時間を減らし、物流コストを削減することができます。

燃料効率の改善:運送車両の燃料効率を改善することも、長期的には物流コストを削減するのに役立ちます。適切な車両メンテナンスや、エコドライビングの推進などによって達成できます。

包装と荷積みの最適化: 商品の包装を見直し、荷積みを最適化することで、輸送コストを削減することが可能です。

KPIとメトリクスの追跡: 具体的な目標(KPI)を設定し、達成するためのパフォーマンスメトリクスを追跡することは、物流コストを管理し改善する上で不可欠です。

これらはあくまで一例であり、各企業の具体的な状況に応じて最適な戦略が変わる可能性があります。最終的には、物流コストを最適化するためには、全体的なビジョンと戦略を持つことが重要です。

物流コストを最適化する方法

ラグジュアリーブランドの実績を重ねてきたルビー・グループが特に重視するのは以下の3つのポイントです。

1.リーン原則の採用:無駄を排除し、プロセスを効率化するためのリーン原則を導入します。

2.トレーニングと教育:スタッフが最新のベストプラクティスを理解し、 新しい技術を適切に使用できるように、継続的なトレーニングと教育を行います。

3.在庫管理の改善:適切な在庫管理は、過剰な在庫を保持することなく需要を満たすことができます。適切な在庫レベルを維持することで、倉庫コストを適正化が図れます。

また、今後注目されるのはテクノロジーの活用です。
システム開発からワンストップで手がけるルビー・グループでは、今後商品情報管理システム、在庫最適化システムとともに AI、自動化、ロボティクスなどの最新の技術を利用することで、効率向上を目指します。

これらの戦略を適切に実行することで、物流コストを大幅に削減することが可能です。
しかし、各企業の特定の状況とニーズによって、最適な戦略は異なる可能性があります。

まとめ

いかがでしたか?本記事では、ECサイト運用における物流コストの見直しと適正化についてお伝えしました。コストの最適化には、物流コストの内訳を理解し、紹介した方法を実施する事が重要になってきます。
また、削減したコストを高品質なサービスに転化することで、高い付加価値を提供し差別化を図ることも可能です。

ルビー・グループでは、多くのECサイトで物流の実績がございます。ラグジュアリーブランドの実績も豊富で、高いクオリティでの物流業務を提供可能になりますので、お困りの際はぜひご相談下さい。

この記事を書いた人

宮澤 恵美フルフィルメント部 部長

大学卒業後、老舗アパレル会社で商品企画、MD、イベント企画、新規開拓営業、EC運営、店舗運営など幅広く経験を積む。 2019年3月からルビー・グループに参画。前職の幅広い経験をもとにロジスティクス、カスタマーサポート、ささげを統括責任者に就任。 長年クライアントに近い立場で働いていたため、クライアントとエンドユーザーのお客様との架け橋となることをモットーに行動。オフの楽しみは国内外の旅行。