
しかし言葉として聞いたことはあっても、その定義や、具体的な内容、導入メリットなどについて詳しくはわからないという方は、意外と多いのではないでしょうか。
本記事では、EC基盤システムの概要と導入メリット、構成要素・主要機能・構築方法、システム導入時のポイントや選び方などをわかりやすく解説しています。
「EC基盤システムとは何か?」「EC盤システムの選び方・導入メリット・機能を知りたい」という方はもちろん、「自社ECに最適なシステムを比較したい」という方も、是非ご一読ください。
EC基盤システムとは何か?

EC基盤システムとは、ECサイトを構築・運営するための土台となるシステム全体のことです。ユーザーが商品を選んで購入するサイト画面から、運営者側の在庫管理や顧客管理まで、ECビジネスを支えるすべての機能を含んでいます。
構成要素
EC基盤システムは、主に以下の3つの要素で構成されます。
フロントエンド
ユーザーが直接操作するECサイトの画面部分です。ECサイトのデザイン、商品ページ、カート機能、会員登録、決済画面などが含まれます。
バックエンド
サイト運営者が使う管理機能で、注文管理、在庫管理、顧客管理、決済処理、売上分析などの機能が含まれます。
インフラストラクチャ
システムを動かすための基盤となるサーバーやネットワーク、データベースなどを指します。クラウドサービス(AWS、GCPなど)を利用するのが一般的です。
主な機能
EC基盤システムは、ECサイト運営に不可欠な様々な機能を統合しています。
・商品管理:商品情報の登録・編集、カテゴリ分け、価格設定など
・在庫管理:在庫数の自動更新、欠品通知など
・注文管理:注文内容の確認、配送状況の追跡、キャンセル処理など
・顧客管理:顧客情報の登録、購買履歴の分析、メールマガジンの配信など
・決済機能:クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込など多様な決済手段の提供
・マーケティング・販促機能:クーポン、キャンペーン、ポイント付与、レコメンド機能など
構築方法
EC基盤システムは、ビジネスの規模や目的に応じてさまざまな方法で構築できます。
・ECモール型:Amazonや楽天市場などの既存のプラットフォームに出店する方法です。集客力がある反面、ブランディングの自由度が低いといった特徴があります。
・ECパッケージ型:必要な機能がパッケージ化されたソフトウェアを導入する方法です。カスタマイズの自由度が高く、中〜大規模サイト向けです。
・ASP/SaaS型:クラウド上で提供されるサービスを利用する方法です。初期費用や運用コストを抑えやすく、中小規模サイト向けです。
・オープンソース型:無料で公開されているソースコードを利用して構築する方法で、自由度が高い反面、技術的な知識や自社での保守管理が必要です。
・フルスクラッチ型:ゼロから独自にシステムを開発する方法です。要件に合わせて自由に構築できますが、費用や開発期間が大きくなります。
EC基盤システムの主要機能とメリット
それでは次に、EC基盤システムの主要機能それぞれの特徴と、システム導入によって得られるメリットについて解説いたします。
商品管理機能
・商品情報の一元管理:商品名、価格、画像、説明文、SKU(在庫管理単位)などを登録・編集できます。
・多様な商品表示:商品ごとに複数の画像や動画を登録したり、バリエーション(サイズ、色など)を設定できます。
・カテゴリ・タグ設定:顧客が商品を検索しやすくなるように、カテゴリやタグを自由に設定できます。
在庫管理機能
・リアルタイムな在庫連携:注文が入ると在庫数が自動で更新され、常に正確な在庫状況を反映します。
・在庫の自動引当:注文確定と同時に在庫が確保されるため、欠品による販売機会の損失を防ぎます。
・在庫アラート:在庫数が少なくなった際に自動で通知する機能があり、適切なタイミングで発注・補充を促します。
注文管理機能
・注文情報の自動収集:顧客の注文情報を自動で集約し、一元管理できます。
・ステータス管理:注文の受付、決済完了、発送準備中、発送済みなど、注文の状況を段階的に管理できます。
・配送連携:配送業者とのシステム連携により、送り状番号の自動発行や配送状況の追跡が可能です。
顧客管理(CRM)機能
・顧客情報の一元化:会員情報、購買履歴、問い合わせ履歴などを紐づけて管理できます。
・顧客セグメンテーション:顧客の属性や購入履歴に基づいてグループ分けを行い、パーソナライズされたマーケティング施策に活用できます。
・ポイント・会員ランク制度:顧客の囲い込みやリピーター育成のための制度を導入できます。
決済機能
・多様な決済手段:クレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、電子マネーなど、顧客の利便性を高める多様な決済方法を提供します。
・セキュリティ:決済情報の暗号化やPCI DSS準拠など、高いセキュリティ基準を満たしています。
マーケティング・販促機能
・クーポン キャンペーン設定:特定の期間や条件で利用できるクーポンやキャンペーンを簡単に設定できます。
・レコメンド機能:顧客の閲覧履歴や購買履歴に基づいて、関連商品やおすすめ商品を表示し、客単価向上に貢献します。
・メールマガジン配信:顧客リストに対して、新商品やセール情報を一斉配信できます。
分析・レポート機能
・売上分析:日別・月別の売上、商品別の売上ランキングなどを可視化し、経営判断に役立てます。
・顧客行動分析:サイトへのアクセス数、滞在時間、購入に至った経路などを分析し、サイト改善に活用できます。
・効果測定:実施したマーケティング施策の効果を数値で把握できます。
このように、EC基盤システムの導入は、単にECサイトを立ち上げるだけでなく、業務効率化、データ活用、顧客体験の向上、そしてビジネス全体の成長に大きく貢献する重要な経営戦略と言えます。
導入時のポイントと選び方
EC基盤システムの導入は、ビジネスの成否を左右する重要な決断です。自社のビジネスモデルや将来の展望に合ったシステムを選ぶためのポイントと、具体的な選び方について解説します。
導入時のポイント
1. 導入目的と要件の明確化
なぜEC基盤システムを導入するのか、その目的を明確にすることが最も重要です。
-1.解決したい課題:「手作業での在庫管理をなくしたい」「顧客データを分析してマーケティングを強化したい」といった具体的な課題を洗い出します。
-2.必要な機能:「商品点数が1万点以上に対応できるか」「外部のPOSシステムと連携できるか」など、自社に必須な機能をリストアップします。
-3.将来の展望:「海外販売を検討している」「実店舗との連携を強化したい」といった、将来の事業拡大を見据えた要件も考慮に入れます。
2. 予算とスケジュールの策定
システムの種類によって、初期費用、月額費用、運用コストが大きく異なります。
-1.初期費用:構築費用、デザイン費用、初期設定費用など。
-2.ランニングコスト:月額利用料、サーバー費用、保守費用、決済手数料など。
-3.スケジュール:導入決定からサービス開始までの期間を現実的に設定します。特にカスタマイズが必要な場合は、余裕を持ったスケジュールが必要です。
3. 体制の構築
システム導入後の運用をスムーズに行うための体制を整えます。
-1.担当者の選定:システム導入のプロジェクトリーダーや、運用・保守の担当者を決めます。
-2.社内教育:導入したシステムの使い方を全社で共有し、運用が滞らないように教育体制を整えます。
EC基盤システムの選び方
EC基盤の選択肢は、「オンプレミス」と「クラウド」に大別されます。「オンプレミス」とは、サーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどのITインフラを自社で所有し、管理・運用するシステム形態です。
EC基盤システムをオンプレミスで構築するメリットとしては、カスタマイズ性が高く、自社の厳格なセキュリティポリシーを反映できるというメリットがあります。
一方、初期費用が高額で、システムの運用や保守に手間とコストがかかる点がデメリットです。近年は、初期費用を抑えられ、柔軟な拡張が可能な「クラウド」への移行を検討する企業が増えています。
EC基盤を「オンプレミス」で構築するか、「クラウド」で構築するかは、事業規模、予算、必要なカスタマイズ性、セキュリティ要件などを総合的に考慮して決定する必要があります。特に、システムの自由度やセキュリティを重視する大規模企業では「オンプレミス」が選択肢となり得ますが、コスト削減や柔軟な拡張性を求める場合は「クラウド」が有力な選択肢となるでしょう。
EC基盤システムの活用事例
ここでは、代表的なEC基盤システム別に成功事例を紹介します。EC基盤システムは、それぞれに強みや特徴が異なるため、自社のビジネスモデルや課題に合わせて最適なシステムを選んだことが成功の鍵となります。
通販エース(EC・通販専用基幹システム)
株式会社メグビー (健康食品):CX(顧客体験)向上と業務効率化の両立
オフライン/オンラインのポイントをリアルタイムで統合し、受注時に複雑な割引やポイント計算を自動適用。オペレーターが電話対応時に即座にポイントを反映でき、顧客体験を大幅に向上。さらに「お客様コンタクト」機能で相談内容を記録し、リピートにつながるきめ細やかな対応を実現。
株式会社グランブルー:多店舗展開とリピーター戦略の基盤構築
全モールからの受注データを一元管理し、管理業務を効率化。通販エースの柔軟な機能により、複雑なリピーター向けキャンペーンを自動で実行できる強固な基盤を構築し、販路拡大とリピート率向上を同時に実現。
通販する蔵(EC一元管理・オムニチャネル対応基幹システム)
テンポスドットコム:大規模ECの成長を支える効率化
商品管理と注文管理をシステムで一元化し、ECサイトを6つに拡大。バックヤードの効率化により、売上を150%増加させるという飛躍的な成長を達成。
Sac's Bar (カバン・服飾雑貨):オムニチャネルの実現と販売機会の最大化
自社ECとPOSシステム(POSする蔵)を連携し、ECサイトと実店舗間のリアルタイム在庫連動を実現。これにより、全社の在庫をEC販売に活用できるようにし、売り切れによる販売機会損失を大幅に削減。
アラジンオフィス / アラジンEC(BtoB/基幹システム連携特化)

フードライナー 様 (食品・飲料業):見積もり・輸入業務のデジタル化
FAX受注のデジタル化に加え、複雑な見積もり・輸入業務をシステム上で効率化。空いた時間を柔軟な顧客対応に充てられるようになり、サービス品質が向上。
テクノエイト 様 (理美容品):システムの一元連携による業務集中
販売・在庫管理(基幹)、BtoB EC、倉庫システムをシームレスに連携。システム運用・管理の心配をベンダーに任せることで、本業である顧客へのサービス提供に集中できる体制を構築。
まとめ
ECビジネスの成長と効率化を実現するためには、いまやEC基盤システムの導入は避けられません。EC基盤システムは単なるツールではなく、ECビジネスを成功させるための戦略的な投資と言えるでしょう。
ルビー・グループではこれまで、数多くのブランドのECサイトの構築からその後の運用まで、包括的かつ専門的なサポートを提供しています。EC基盤システムの導入という単一のフェーズだけでなく、その前後にある戦略立案から、構築、運用、そしてマーケティングまでを一貫して支援することで、EC事業の成功と売上最大化に貢献する役割を担うことが可能です。
EC基盤システムの導入について検討されているようでしたら、ぜひお声がけください。
この記事を書いた人

ルビー・グループ コーポレートサイトチーム
各分野の現場で活躍しているプロが集まって結成されたチームです。
開発、マーケティング、ささげ、物流など、ECサイトに関するお役立ち情報を随時更新していきます!